フェラーリ・クラシケも取得済み
今回ミラノ・オークションに登場したデイトナは、そのうち1105台を占める左ハンドル仕様のベルリネッタ(クーペ)で、ヨーロッパ仕様としてデリバリーされた1台。ロッソ・キアーロのボディカラーに、ブラックのインテリア、そしてエアコンやセンターロック式のクロモドラ製ホイールを装着している。
生産時そのままの仕様であることは、2006年にクラシケの認証を受けたことからも明らかだ。もちろんこの出品車には、クラシケが発行した認定書、通称「レッドブック」も付帯するから、その価値はさらに高まっているといってよい。
1972年3月30日、このデイトナはドイツのデュッセルドルフにあるフェラーリディーラー、オート・ベッカーにデリバリーされ、同じドイツのホルツミンデンで登録。翌年、スウェーデンに在住のセカンド・オーナー、レイフ・ヴァルストロム氏の手に渡った記録が残る。
そして2005年末にはドイツのフェラーリ・ディーラーが入手して、前述したクラシケのレッドブックを取得。さらにフランスのスペシャリストであるガレージ・ミリアンクールによってクラシケの認証が行われたというのが、大まかなモデル・ヒストリーとなる。
2023年にはV型12気筒エンジンに組み合わされる6基のウェーバー製キャブレターのオーバーホールを始め、燃料システムなどのメンテナンスも行われ、すぐにその走りを楽しめるコンディションに保たれていた。RMサザビーズはこのデイトナに50万ユーロ~70万ユーロ(邦貨換算約8150万円〜1億1410万円)のエスティメート(予想落札価格)を提示したが、実際の落札価格は53万9375ユーロ(邦貨換算約8762万円)という結果に落ち着いた。
このデイトナ以降、フェラーリはV型12気筒2シーターモデルの基本設計をフロントエンジンからミッドシップに変更。再びそのエンジン搭載位置がフロントに戻るのは1996年に誕生した550マラネロまで待たなくてはならない。フェラーリの歴史において、きわめて大きな節目となったデイトナ。その評価が、これからさらに高まっていくことを期待したいところだ。




































































































