新車時からのオリジナル塗装を維持
ボルトオンタイプのフェンダーアーチによって独特な雰囲気が演出されたカップ3.8 RSRのスタイルは、まさに機能美の極致ともいえる。出品車のボディカラーであるガーズレッドは新車時そのままのもの。前後にはセンターロック式のBBS製ホイールが装着され、スパルタンの一語に尽きるコックピットの仕上げとともに、それが純然たるレーシングカーとして誕生したモデルであることを物語っている。
将来的には価値の上昇が期待できる?
リアに搭載されるエンジンは、「M64/75」の型式名を持ち、最高出力はストックの状態でも350psに達していた。これに「G50/34」型6速MTを組み合わせて後輪を駆動する。デリバリーを受けたザクスピードは、このカップ3.8 RSRを3シーズンにわたってドイツ国内のレースに参戦させた後、2001年1月にクラブレーサーのエバーハルド・ファッケ氏へと売却。氏は2002年のシーズン終了までこのモデルでレースに出場した記録が残されている。それが出品者である「シュトゥットガルト・レジェンド・コレクション」の所有となったのは2014年のことである。
予想落札価格は45万ユーロ~55万ユーロ(邦貨換算約7310万円~8934万円)が提示されたが、長年にわたってコレクションで静態保管されてきたこともあり、RMサザビーズからは
「使用前には機械的な再整備が必要」
とのインフォメーションが出されていた。その点が影響したのか、あるいは実際にオンロードでは使用できないモデルであるという事情もあったのか、今回のオークションでは落札には至らなかった。しかしながら、将来的にはさらなる価値の上昇が期待できることは確かであり、このモデルが今後どのように取引されていくのかは注目に値する。























































































