アメリカ仕様として出荷された1台
今回出品されたディーノ246GTSは、「07884」のシャシーナンバーを持つ個体。フェラーリの記録によれば、1974年3月25日にアメリカ仕様としてラインオフされたモデルだ。アメリカ仕様では排出ガス規制に対応するため、最高出力を180psに抑えた専用エンジンを搭載。灯火類なども独自の仕様とされていた。
この「07884」はアメリカに輸出されたのち、ペンシルベニア、ニューヨーク、ニュージャージーの各州を渡り歩いた。その後、スイスのヴォーレンに在住する世界的なフェラーリ・コレクター、フランク・フィッシャー氏の手に渡ったという事情もあり、のちにヨーロッパ仕様と同様の仕様に改められている。
カラー・レシピを入手して新車時の色合いを復活
この車両は新車時、「セレスティ・メタリッツァート」と呼ばれるシルバーでペイントされていた。アメリカでの所有期間中にはレッドへと変更された記録が残るが、2002年に入手したスウェーデン在住のオーナー、すなわち今回の出品者は、フェラーリのクラシック部門「クラシケ」の支援を受けて当時のカラー・レシピを入手。美しいシルバーが再び復活することになった。
なお、同色でラインオフされた246GTSはわずか29台しか存在していない。また、ブルー・コノリー・ヴァンムールを基調とするインテリア・トリムも美しく再現されており、スピードメーターがマイル表示からキロ表示へと変更されたことを除けば、新車時の仕様が見事に再現されている。ちなみに、交換されたマイル表示のスピードメーターも今回のオークションに含まれていた。
オリジナルエンジン付きで将来性も抜群
現在この「07884」に搭載されているエンジンは新車時のものとは異なるが、オリジナルのナンバーを持つエンジンも落札者に引き渡される予定。つまり、新オーナーが望めば、それを搭載し完全なオリジナル状態へ戻すこともできる。クラシケ認定の取得も視野に入ることから、これは大きなセールスポイントであった。
気になる落札価格は?
今回、ボナムスが提示したエスティメート(予想落札価格)は45万〜50万スイスフラン、日本円にして約7700万〜8560万円という高額なレンジ。しかし、最終的な落札価格は44万8500スイスフラン、日本円にすると約7680万円で決着することになった。
今後もこのディーノ246GTSは、世界のオークション・シーンで高い注目を集める存在であり続けるだろう。

































































