徹底した軽量化の一方でミニマムコンフォートは確保
車体重量は先代比で約35kgの軽量化に成功し、1:1(馬力と車重の数値が同じ)を超えるパワーウエイトレシオを実現。また車体各所には最新のカーボンファイバー成形技術が導入され、内装の遮音材を省略することで2.6kg、新技術による素材軽量化で1.3kgの削減が果たされている。
ホイールには、専用設計の7スポーク・タービンブレード型Aircoreカーボンファイバー製ホイールを採用。4輪それぞれに異なる回転方向に合わせてデザインされ、冷却性能と空力性能の両立を実現する芸術的なパーツである。
ブレーキシステムも進化。新開発の多層カーボンセラミックローターと高性能パッドを組み合わせ、制動力と熱耐性を格段に向上させている。ケーニグセグ製の高精度なキャリパーと組み合わされ、長時間のハードブレーキングにも耐える仕様だ。
インテリアは極限まで無駄を排した設計となっている。センターコンソールは軽量化され、シートも専用設計のカーボンファイバー製。標準では3点式シートベルト、オプションで6点式ハーネスも選択可能。ドライビングに集中するため、LSTの操作はパドルシフトで行う。
一方で、ケーニグセグならではの快適装備は省かれていない。ステアリングマウント式のスマートクラスターディスプレイ、タッチ操作に対応したスマートセンター、USB充電端子、ワイヤレス充電パッド、自動開閉機構のオートスキン、鳥瞰視点での駐車支援カメラなど、ラグジュアリーカーにも劣らない利便性を確保している。
車両の実力は数値上のスペックだけでは測れない。実際に、スウェーデン・ゴットランドリングでのシェイクダウンテストでは、かつてケーニグセグが誇った「ジェスコ・アタック」が記録したラップタイムを1.1秒も短縮。空力、パワー、軽量化、制動、すべてが高次元で統合されたピュア・サーキットモデルなのだ。
【AMWノミカタ】
ケーニグセグは1994年に弱冠22歳のクリスチャン・フォン・ケーニグセグによって創業されたスウェーデンのハイパーカーメーカーである。ケーニグセグがアゲーラの後継モデルとしてジェスコを発表したのは2019年、そしてさらに6年後にさらにパワーアップを果たしのが新型のサダイアーズ・スピアだ。
パワートレインやシャシー、トランスミッションの基礎構造はジェスコと共通しているが大幅なアップデートが施されており、ダウンフォース性能、冷却能力、エンジン出力、トラックでのタイムなど、ジェスコを凌駕するスペックを実現している。
また興味深い点はE85燃料を使用したほうが通常のガソリンより325psも最大出力が高いことにある。E85のオクタン価は概ね105~108程度と通常のプレミアムガソリンよりも高い。15%混合されているエタノールは蒸発する際に大量の熱を吸収することから、混合気の温度が大きく下がり、吸気温が冷却され燃焼効率が上がるという仕組みとなっている。
限定の30台はすでに完売してしまったという。日本でいつかこの姿を見られる日が来ることを期待したい。












































