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カウンタック25周年記念車がオークションでは最低落札額に未到達! 後日約7810万円で売却されたプロレス界のスーパースター“ジョン・シナ”が所有した個体

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Courtesy of Broad Arrow

プロレス界のスーパースターが愛したカウンタック アニバーサリー

今回ブロードアロー・オークションズ「Monterey Jet Center 2025」に出品された1989年型ランボルギーニ カウンタックは、生産台数657台というカウンタック史上最高のヒット作となった25周年記念モデル「アニバーサリー」の1台。インジェクションを装備するアメリカ仕様だ。

「ネロ(黒)」のエクステリアにベージュのレザーインテリアがすっきりと明快なコントラストで仕上げられている。シートには、ボディ色を反映した黒のパイピングがあしらわれていた。

日本製「アルパイン(ALPINE)」純正ステレオシステムも新車時のまま残されていた。当初オプションで選択されていたリアのウイングスポイラーは、のちにより繊細で洗練されたプロフィールを実現するために取り外されたとのことである。

アメリカ合衆国内での登録履歴を調べられる「CARFAXレポート」によると、1993年にミズーリ州の所有権が初めて明らかになる。その後、1995年から2007年まで主にサウスカロライナ州に居住したのちカナダへと移り、オハイオ州からミネソタ州、アルバータ州と居場所を変えていった。

そして2021年4月、17回もの「WWE」チャンピオンを獲得した偉大なプロレスラーであり、俳優や司会業でも活躍しているスーパースター、ジョン・シナが購入した。それ以来、この象徴的なランボルギーニは、フロリダを拠点とする彼のハイエンド・パフォーマンスカーコレクションの中核であり続けている。

オークション時は流札するが後に7810万円で売却

現在、オークション公式カタログの作成時点では、通算の走行距離はわずか1万184マイル(1万6390km)に過ぎない。しかし、現状での保存状態は走行距離の常識以上に良好とのことである。ペイントとインテリアは素晴らしい状態にあり、新車時の仕上げやマーキングの多くはそのまま残されていた。

車両に添付されるドキュメントファイルに綴じられたサービス文書によると、2022年にフロリダ州ネープルズの「ネープレス・モータースポーツ(Naples Motorsports)」社に依頼して、大規模なメカニズム系のリニューアルが行われた。また、2024年10月にはフロリダ州タンパの「ヨーロピアン・エキゾティックセンター(European Exotic Centre)」社を介してサービスが行われるなど、ここ数年におけるメンテナンスやサービスに費やした総額は8万4195ドルにのぼる。

そして2025年7月、カリフォルニア州コスタメサにある「I Am Detailing」のフィニッシャーによる専門的な塗装修正を受け、モントレーのオークションに臨むことになった。

今回の出品にあたり、ブロードアロー・オークション社は、次のようにアピールした。

「ランボルギーニ カウンタックほど印象的なクルマはほとんどない。大胆で美しく、そして残酷なほど速い25アニバーサリーは、ランボルギーニにおける伝説を究極的なまでに進化させたもの」

一方で、50万ドル〜60万ドル(邦貨換算約7340万円〜約8810万円)という、ここ数年のカウンタック アニバーサリーの相場感に即したエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ところが、8月13日に行われた競売では予測していたほどにビッド(入札)が伸びなかったようだ。リザーブ(最低落札価格)には届くことなく流札となった。現状では営業部門による継続販売とされ、日本時間の8月17日朝の時点では、公式オークションカタログに「Inquire For Price(価格応談)」と記されていたが、その後、52万7500ドル(邦貨換算約7810万円)で売却されていた。

国際クラシックカー・マーケットにおけるカウンタック アニバーサリーの相場価格は、2024年まではなかなかの伸びを見せ、5000QVを凌ぐ事例もいくつか見られていた。しかし、ここ数カ月は、トランプ関税による国際マーケットの先行き不安感に押されているようにも感じられる。その実態を確認するには、まだしばらくの時間を要することだろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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