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この世に“19台”しか存在しないフェラーリ「F40 コンペティツィオーネ」が16億円で落札

この世に“19台”しか存在しないフェラーリ「F40 コンペティツィオーネ」が16億円で落札

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

コンクールで入賞を果たしたF40 LMのハンマープライスは16億円超え

2014年、このフェラーリF40 LMは2度目となるミケロットへの里帰りを果たし、徹底的なリフレッシュが行われた。20年前に同社内で「F40コンペティツィオーネ」を製作・チューニングした部門が、エンジンとギヤボックスのオーバーホール、ボディの軽微な修理を施し、外装をオリジナルのカラーで再塗装した。

その後、この極めて正統なF40LMはラスベガスの投資開発業者に購入され、5年間所有された後にドイツのディーラーへと売却された。さらにその後、オーストリアのコレクターの手に渡った。

今回のオークションの現オーナーのもとでは、2025年にフロリダ州コーラルゲーブルズのビルトモアホテルで開催された「モーダマイアミ・コンクール」に出展されたばかりだ。当然、多くの目利きのティフォージたちから注目を集め、「フェラーリ:情熱とパフォーマンスのコレクション」クラスで入賞を果たしている。

今回の出品に備え、フロリダ州ジュピターの「ロッソ・コルサ」社による大規模整備が2025年6月に完了した。作業内容には、燃料ブラダー(防漏)タンク、タイミングベルトおよび補器類のベルト、スパークプラグ、燃料フィルターの交換が含まれる。また、前述のOZホイールには「ミシュラン パイロットスポーツGTスリックS7M」タイヤを新規装着したほか、バッテリーも新品に交換された。保管されている請求書はこの作業が行われたことを証明しており、総投資額は6万7000ドル以上に及ぶ。

現存するF40 LMは、ストラダーレ版F40をミケロットで改造したものや、ミケロットが販売していたチューニングキットを組み込んだ「LM仕様」が多くを占める。しかし、このシャシーナンバー95448は、ミケロット社によってF40コンペティツィオーネとして製作された真のコンプリートカーだ。わずか19台のみ生産されたきわめて希少なモデルであり、さらに詳細な記録が残るこの個体は、レースのために設計された精巧なディテールに満ちていることも魅力である。

今回のオークション出品に際し、RMサザビーズ北米本社は公式カタログ内で

「次なる所有者には真の狼を装った狼、マラネッロが生んだもっともパワフルな現代ベルリネッタのひとつを所有する誇り、あるいは熱いラップを刻む本能的な喜びをもたらすでしょう」

と謳い、850万ドル~950万ドル(邦貨換算約12億5800万円〜14億600万円)という自信をうかがわせるエスティメートを設定した。

そして迎えた8月16日のオークション当日。モントレー市内の大型コンベンションセンター、および隣接するホテルにも会場を広げて挙行された対面型競売では、エスティメート上限を150万ドル以上も上まわる1100万5000ドルという価格で落札された。現在の為替レートで日本円に換算すれば約16億3600万円という、驚きのビッグディールとなった。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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