BYD参入で揺らぐ「日本固有の文化」
そして忘れてはならないのが、中国ブランドBYDの軽自動車市場参入構想です。
BYDは、2026年後半に日本専用設計の軽EVを国内導入する計画を発表しています。このモデルは日本の軽自動車規格に合わせた設計とされ、スライド式のサイドドアも採用すると報じられています。
すなわち、海外勢が軽自動車市場に直接割って入ることで、これまで「日本固有の小型車文化=ガラパゴス軽」の構図は大きく揺らぐ可能性があります。開発は、日産で軽自動車の開発を担当した人材がヘッドハンティングされたと噂されており、日本の市場を理解したクルマ作りがされるはずです。これは日本勢にとってはとくに脅威となります。
これが実現すれば、軽自動車の設計・技術水準や競争フィールドは、国内メーカー同士の競争を越えて、国際舞台を意識せざるをえないものになるでしょう。「軽」はもはや、国内だけの戦場ではなくなります。次世代バッテリー技術、効率化、高安全性能、コスト制御──軽自動車に求められる要件は、世界基準へと引き上げられてゆくはずです。
軽自動車の国際化でグローバル基準との融合が始まる
とはいえ、参入初期には「日本の基準・法規・安全要件」という壁が待ち受けております。衝突安全性、騒音基準、耐久性、使い勝手など、長年軽自動車で鍛えてきた日本メーカーのノウハウとの「差」を如何に埋めるかが勝負の肝となるでしょう。
しかし、その挑戦こそが、軽自動車界をさらなる高みに引き上げるきっかけになり得るのです。むしろ、「軽自動車がガラパゴスであり続ける」ことこそが、世界と隔絶された古い構図と言われる日が来るかもしれません。
2025年生まれた軽自動車たちにBYDの計画を加えた「軽自動車豊作年」の物語は、こうして国際化への序曲をも含むものとなります。「軽の革命元年」に続く章として、来年以降は本格的な電動化競争、異業種参入、グローバル基準の融合が始まるでしょう。





































