個人の自動車愛と情熱で作り上げた
石川県小松市にある「日本自動車博物館」は、ひとりの自動車愛好家が情熱だけで作り上げた国内最大級の私設ミュージアムです。3階建ての館内には、クラシックカーから昭和の大衆車まで500台以上を常設展示。メーカーの企業博物館とは異なり、創設者・前田彰三さんが個人で集めた貴重な車両がずらりと並びます。北陸新幹線の延伸でアクセスも良好になった石川県は、温泉や観光とあわせて訪れたい“クルマ好きの聖地”です。
日本最大級の私設コレクション
北陸新幹線が敦賀まで延伸し、石川県の加賀温泉や福井といった金沢市以西の北陸各地がにわかに注目を集めている。その加賀地方に行った際には是非とも訪れてほしいのが、石川県小松市にある「日本自動車博物館」だ。
国内の一般的な自動車博物館は、自動車メーカーなどが運営するものが多い。かつては個人が所有するコレクションを展示する小規模のミュージアムが多数あったが、バブル崩壊と前後してそのほとんどが閉館してしまった。
そうしたなか、日本自動車博物館は、石黒産業が運営するプライベートミュージアムである。3階建て約1万2000m2の敷地に、なんと常時約500台の車両を展示している。すべてのフロアをゆっくり見てまわるだけで半日は必要となるほどの規模だ。おそらく現在、常設されている国内の私設ミュージアムとしては最大級の規模を誇る。
初代館長の情熱が詰まった展示車両
日本自動車博物館は、初代館長であり自動車愛好家の前田彰三さんが社長を務めていた石黒産業の本拠地である富山県小矢部市でブロック工場の跡地を利用して1978年に開館した。その後も個人からの寄贈などによってコレクションは増加し続けたため、1995年に現在の石川県小松市に規模を拡大して移転し、現在の姿となった。この功績が認められ、前田さんは2004年に日本自動車殿堂に列せられている。
巨大なレンガ造りの洋館のような建物のなかに入ると、3つのフロアに約500台の車両が展示されている。さらにバックヤードにも200台ほど収蔵しているという。まさに日本最大級の規模である。
とくに特筆すべきは、これらの展示車両は前田さんが個人で収集したコレクションをベースとしている点だ。クラシックカーはもちろんだが、通常は展示対象とならない商用車も積極的にコレクションしている。
もうひとつの興味深い点は、収蔵車両は彼が新車で購入したものではなく、石黒産業で使用して現役を退いた商用車や、各地で個人から譲り受けた車両などが数多く含まれている点である。そのため、改造を受けていたり、社外のアルミホイールを装着している車両などもある。
貴重な車両から大衆車、商業車まで幅広く収蔵
館内にはトヨタ博物館ですら所有していないトヨタABRフェートンや、JACニューエラ、くろがね四起など、自動車黎明期の珍しい国産車が並ぶ。ドディオンブートン、ベルリエVG22など1世紀以上前の外国車、さらにジオット キャスピタ(スバルの12気筒水平対向エンジンを搭載)のような世界に1台しかない個体など貴重な車両も収蔵されている。
一方で昭和末期のごく一般的な大衆車や商業車なども数多く収蔵されており、コレクションは非常に幅広い。
日本自動車博物館は、国道8号線二ツ梨インターチェンジの近くにあり、北陸道片山津インターチェンジからも15分とアクセス良好だ。北陸新幹線の加賀温泉駅やIRいしかわ鉄道粟津駅、小松空港などからも近いので、公共交通機関でも気軽に訪れることができる。また周囲には加賀温泉郷があるので、温泉旅のときに寄り道したり、金沢観光と合わせて訪れても楽しめるはずだ。ぜひとも日本最大級の自動車博物館を見てほしい。
日本自動車博物館
■住所:石川県小松市二ツ梨町一貫山40番地
■電話番号:0761-43-4343
■URL:https://www.motorcar-museum.jp/
■開館時間:9時〜17時(入館は16時半まで)
■休館日:水曜日(祝日の場合は開館)
■入館料
大人(高校生以上)1200円
子供(小・中学生)600円
※小学生未満は無料
※65歳以上はシニア割引で1000円




























































































