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「なにわのサーティース」が葉巻型フォーミュラで挑む!“2輪+4輪”の夢

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TEXT: 奥村純一(OKUMURA Junichi)  PHOTO: 奥村純一(OKUMURA Junichi)

  • アレクシスMk14 フォーミュラ フォード:先行するのはフェスティバル オブ サイドウェイ トロフィーを主催する金子温氏の1964年式クーパーT72。土井さんの1967年式のアレクシスMk14 フォーミュラ フォードが猛追する
  • アレクシスMk14 フォーミュラ フォード:フォレストレースウェイを走る土井さんと1967年式のアレクシスMk14 フォーミュラ フォード。レインコンディションでの予選だが、4輪は「コケない」ので安心して走れる
  • アレクシスMk14 フォーミュラ フォード:センターには視認性の良いスタック製のタコメーターを配し、左右には水温計と油圧計、そして消化器、カットオフスイッチ、スタータースイッチ、油圧警告灯が並んだというシンプルなレイアウトのコックピット
  • アレクシスMk14 フォーミュラ フォード:フォード エスコートなどに使われていたノーマルのフォード製OHVエンジンのワンメイクレースがフォーミュラ フォードだ。キャブレターもダウンドラフトのシングルキャブレターを使用する
  • アレクシスMk14 フォーミュラ フォード:エキゾーストマニホールドやマフラーの素材はうるさくないが、この時代ならやはり、このようなスチール製のものがベストマッチしている
  • アレクシスMk14 フォーミュラ フォード:ヒューランドのマーク9という、この時代、この車格ではポピュラーなミッションを使用している
  • アレクシスMk14 フォーミュラ フォード:エイボン製ヒストリック・オールウエザーという専用のタイヤを使う
  • アレクシスMk14 フォーミュラ フォード:丸断面のフレームに天地Aアームで構成されたダブルウィッシュボーンのフロントサスペンション。本来フレームの内側が水路になっているが、現在のレギュレーションでは外に別ラインとして追加されている(赤いパイプがそれである)
  • 2輪レース「ヴィンテージツーリストトロフィー」には1962年式トライアンフ・トライトンで出走した土井さん。ポールポジションを獲得したが、インマニのクラックから順位を落とし、決勝レースは2位のフィニッシュとなった
  • アレクシスMk14 フォーミュラ フォード:フェスティバル オブ サイドウェイ トロフィーで行われたヒストリックフォーミュラカップ。サポートの仲間とおどける土井敬一さん。隣はロータス69で参戦しているモータージャーナリストの藤原彦雄氏
  • フェスティバル オブ サイドウェイ トロフィーで行われたヒストリックフォーミュラカップを走る土井さんと1967年式のアレクシスMk14 フォーミュラ フォード

「2輪常勝」オーナーが葉巻型フォーミュラフォードに挑戦

オーナーの土井敬一さんは、憧れの「2輪+4輪=2&4」の世界を実現しました。愛車は1967年式アレクシスMk14フォーミュラ フォード。クラシックバイクから葉巻型フォーミュラカーへと挑戦の舞台を広げ、ヒストリックレースで走りを楽しんでいます。走る喜びを知り尽くした「なにわのサーティース」が操るマシンには、当時のスピリットと情熱が宿っています。

憧れの「2&4」の世界へ入り込む

葉巻型フォーミュラカーは1950年代後半から1960年代にかけて活躍したマシンで、カウルの形状からそう呼ばれている。F1を頂点に、F2、F3、FJ(フォーミュラジュニア)、FF(フォーミュラフォード)といったさまざまなクラスがあり、ヒストリックカーレースの世界でも人気を集めている。

チューニングエンジンを使用するフォーミュラ・ジュニアはコストが高価になった。より安価にレースを楽しむため、新たな入門カテゴリーとして1967年にフォーミュラ フォード(FF)が設立された。フォード「コーティナ」に搭載されていたノーマルの1.5L OHVエンジンを搭載することで、イコールコンディションを保ちつつ、コストを抑制。このクラスはすぐに世界中でシリーズ戦が始まり、レーシングドライバーを志す若者たちの登竜門として現在も行われている。退役したマシンたちのレースも、半世紀が経った今、FFが行われていなかった日本でも人気のカテゴリーとなっている。

クラシックバイクレースで常勝を誇っていた土井敬一さんは、2輪4輪で世界を制したジョン・サーティースに憧れを抱き、「なにわのサーティース」を自称する。

「かつては2輪4輪の両方で活躍した選手がいた。その頃のフォーミュラカーは葉巻型で、あの世界に憧れてフォーミュラレースにも参加している」

愛車はFFのアレクシスMk14だ。

袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催された「フェスティバル オブ サイドウェイ トロフィー」(以下FoST)はヒストリック2輪4輪の祭典であり、土井さんは初開催時よりノートン・マンクスでバイクレースに参加していた。そこで「Historic Formula Cup」を走る葉巻型のシングルシーターレーシングに魅了されたのだ。2輪4輪同時開催のイベントなので

「どうせなら両方とも楽しみたい」

とフォーミュラカーの売り物を探したが見つからなかった。土井さんは……。

「この記事の執筆者でもある奥村さんが所有しているのを知っている私は、拝み倒して譲っていただきました」

という熱意でアレクシスMk14をオーナーとなった。

ジェームス・ハントも乗ったF1レーサーへの登竜門的マシン

アレクシスMk14は、1960年に最初のフォーミュラカー(アレクシスMk1)を製作したアレックス フランシスとビル・ハリスというふたりの設立者の名に由来する。フォーミュラ フォード用のマシンとしてMk14を製作すると、ジムラッセルレーシングスクールの目に留まる。1967年には同校にラッセル・アレクシスというダブルネームの57台が納入され、レーシングドライバーを志す若者たちの最初の一歩として使用された。のちにF1ワールドチャンピオンとなる若きジェームス・ハントもそのなかの1人である。

フォーミュラカーの魅力について土井さんは熱弁をする。

「一般のクルマでは味わえないダイレクト感。そうした部分は2輪と同じですごく楽しい。雨の日にバイクレースだけだと、どうしても転ばないように慎重になるが、4輪は安心感がある」

バイクレースでは皮ツナギ、フォーミュラではレーシングスーツと、完熟走行から予選、決勝まで含めると1日に6回も着替える。しかしそれも楽しみとして、今後も2&4のレースを楽しんでいくつもりだ。

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