執筆のために文化人が移住するほど愛された我孫子市
映画批評家・永田よしのりが気になる映画ロケ地を探訪。今回訪れたのは、東京から電車で小1時間のベッドタウン・千葉県我孫子市。夏には我孫子市のシンボルマークとも言える手賀沼で開催される花火大会に約40万人もの観客を集めます。かつて志賀直哉が「暗夜行路」を執筆したり、武者小路実篤が移住したりと文化的著名人も我孫子という場所を愛しました。そんな我孫子市、近年は映画撮影も増加。今回は手賀沼周辺のロケ地を巡ってみました。
東京ディズニーランドの建設候補地だった
「東京ディズニーランド」の場所は? と聞くと、ほとんどの読者が千葉県浦安市をまず思い出すはず。 しかし我孫子市が、かつて東京ディズニーランドの建設候補地だったことはあまり知られていない。さらに1959年には我孫子市独自の「手賀沼ディズニーランド」というレジャー施設の構想もあった。
我孫子市手賀沼畔は風光明な場所として、明治から大正時代にかけ多くの文化人が移住、景観保護運動を行った歴史がある。そんな場所に一大レジャーランドを建設しようという動きが起きたのだが、1968年に計画は頓挫、大型観光地計画は実現しなかった。
そんな歴史のある我孫子市だが、近年は宅地造成も整備され、大型ショッピングセンターがありながらも、個人経営店も独自展開で現存する、というじつに理想的な商業展開が進んでいる。人口はここ20年、13万人ほどで推移しているが、それは宅地開発を優先せずに、豊かな自然を残しながら住民の満足感を模索する行政の指針があるような気がする。だから文化人たちも我孫子市に集まってきた過去があるのではないだろうか。
我孫子市のシンボルといえば手賀沼。遊歩道が整備され、公園や広場、図書館、道の駅などが隣接する。映画ロケ地としても使用されている。
「トリガール」で土屋太鳳がスワンボートに乗る
手賀沼公園でロケされたのは土屋太鳳主演の「トリガール!」。原作者・中村航が地元の母校・芝浦工業大学をモデルにして描いた、人力飛行サークルでの青春を描いた1本。鳥人間コンテスト選手権大会に臨む登場人物たちが、手賀沼でスワンボートに乗るシーンはここで撮影されている。ちなみに手賀沼では何カ所か貸しボート店があり、スワンボートは30分1000円ほどで貸し出去れているそう。










































