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グループAレースを席巻した稀少フォード「シエラRSコスワース」を33年普段のアシに使ってきた秘訣とは!?

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TEXT: 勝村大輔(KATSUMURA Daisuke)  PHOTO: 勝村大輔(KATSUMURA Daisuke)  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

  • フォード シエラ RSコスワース:会場に集まった1台。ボディサイドには「RS500」のレタリングが確認できる
  • フォード シエラ RSコスワース:トレードマークのハイマウントウイングをRS500コスワース用に換装している
  • フォード シエラ RSコスワース:スピードスターメッシュを装着した後ろ姿。RS500コスワースのレタリングが入る
  • フォード シエラ RSコスワース:トランクリッドに刻まれた「RS 500 COSWORTH」のレタリング
  • フォード シエラ RSコスワース:ボンネットには冷却用ルーバーを装備。RSコスワース独自のディテールだ
  • フォード シエラ RSコスワース:コスワース製2リッター直列4気筒ツインカムターボエンジン。赤いヘッドが目を引く
  • フォード シエラ RSコスワース:右ハンドルの室内。社外ステアリングや追加メーターが装着されている
  • フォード シエラ RSコスワース:全車標準装備のチルト式ガラスルーフ。スリット状のデザインが独特だ
  • フォード シエラ RSコスワース:愛車の前に立つオーナーの手島さん。1993年から30年以上乗り続けている
  • フォード シエラ RSコスワース:フォードオーバルが光るフロントフェイス。ボンネットのルーバーとRS500仕様のリップスポイラーが特徴だ
  • フォード シエラ RSコスワース:見る方向によって様々な表情を見せるリアウィング。黒い部分がRS500専用のスポイラーパーツだ。

33年間普段の足として走り続ける稀少「シエラRSコスワースの維持に苦労しない」理由とは? 

富士スピードウェイで開催されたハチマルミーティング会場に、日本では正規輸入されなかった激レアな並行輸入スポーツカーが姿を現しました。1986年式フォード「シエラRSコスワース」です。一世を風靡した1980年代のグループAツーリングカー選手権で世界を席巻したホモロゲモデルです。そんな稀少なスポーツカーを実に33年間にわたって乗り続けるオーナーは「普段の足」としても使用していると言います。そんなオーナーの維持の秘訣や苦労を聞いてみました。

巨大二枚刃ウイングを装着した3ドアハッチバックをハチマルミーティングで発見

会場内に並ぶ数多くの車両のなかに、小柄なタマゴ型のような3ドアハッチバックでありながら、リアには髭剃りのような巨大な二枚刃ウイングを装着した1台を発見した。1980年代のツーリングカー選手権やラリーで大活躍したフォード「シエラ」のホモロゲマシンである。日本での知名度こそ高くはないが、独特のハイマウントウイングを装着した姿は印象的で、欧州では今なお大人気のモデルだ。オーナーの手島さんに話を聞いた。

「このクルマは1986年式のフォード シエラRSコスワースで、イギリスから並行輸入された右ハンドル仕様になります。今から30年以上前の1993年に入手しました。当時グループAツーリングカーレースをリアルタイムで見ていたので、そこで活躍していたこのシエラがカッコイイと思っていて、たまたま売りに出ているのを知って、入手しました」

欧州フォードが生み出したグループAホモロゲーションモデルは悪党にも大人気だった!? 

フォード シエラRSコスワースは、シエラをベースとしたホットモデルだ。シエラはフォードブランドながら、アメリカ市場向けではなく、欧州フォードが製造した欧州向けのモデルである。ヨーロッパのツーリングカー選手権への参戦を目的にグループAホモロゲーション(競技参加に必要な型式認定)を取得し、1986年に販売を開始した。エンジンはコスワースが開発を担当した2リッター直列4気筒4バルブ ツインカムエンジンを、ギャレットT3ターボで過給し最高出力204psを発生した。当時の2リッターターボエンジンとしてはリッター当たり出力が100馬力を超えるスペックは、驚異的でした(当時ライバルのスカイラインが800台限定で1987年に販売したGTS-Rが、RB20DET-Rとして登場し210馬力を謳った)。

翌1987年には500台限定生産のエボリューションモデル、RS500コスワースも登場。こちらはさらに高出力化され、227馬力を誇るスペックで登場。結局、シエラの両モデルはレースで大活躍し、日本の全日本ツーリングカー選手権でもR32スカイラインGT-Rが参戦する1990年まで無敵の強さを誇った。なお、ベース車両のシエラは日本に正規輸入されたものの、シエラRSコスワースは並行輸入のみだったため、日本では非常に珍しく、イベントでもあまり見かけることはない。

ちなみに、発売当初からその性能と人気を背景に、英国では思わぬ問題も生じた。ドアロックの脆弱性から解錠が容易であったうえ、高い走行性能のために警察の追跡からも逃げやすく、盗難ターゲットとして格好の存在となってしまい「逃走車」というありがたくない異名を授かるほどだった。1990年代半ばには英国で最も盗まれたパフォーマンスカーのひとつとして悪名をとどろかせ、一部の保険会社は保険加入の引き受けを渋るほどだったし、異常な保険料高騰も招いたという逸話も残っている。

RS500コスワース仕様の外装を身にまとう希少な1台

このクルマは購入当初からリアのトランクスポイラー、通称「ホエールテール(クジラの尻尾)」が装着されており、ボディにはRS500のレタリングも入っているなど、エボリューションモデルであるRS500コスワース仕様の外装となっていたという。これに合わせて手島さんはフロントリップスポイラーもRS500用を入手して装着した。また足まわりには車高調を組み込み、ホイールはスピードスターメッシュをセレクト。ホイールサイズはフロント7J、リア8Jと前後で異なるサイズとオフセットを採用している。

日本の個体数は少ないがパーツ供給は良好、今も普段のアシとして現役

「珍しいクルマですが、ヨーロッパにはかなりファンが多い車種なので、イギリスでリプロのパーツをリリースしていて、RSコスワース専用のパーツもかなり入手できます。だから維持にはそんなに苦労していません。今はこのクルマしか所有していないので、休みの日は普通にアシとして乗っています。この外観が好きで購入したので、特にカスタムする気もないし、これからもこの状態を維持していきたいですね」

国内での流通はほぼ絶え、海外オークションでの落札価格も上昇の一途をたどるシエラRSコスワース。希少性ゆえに「眺めるクルマ」になりがちだが、このクルマが最も輝くのはやはり走っているときだ。オリジナルを守りながら日常の足として乗り続けること。それこそが、シエラRSコスワースにとっての最高の保存方法といえるだろう。

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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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