日産「ケンメリ・スカイラインワゴン」こそ知る人ぞ知る国産ステーションワゴンの原点

日産「ケンメリ・スカイラインワゴン」こそ知る人ぞ知る国産ステーションワゴンの原点

70年代にワゴンブームが起こっていた?
今なお新鮮なC110型スカイラインワゴン

いまでこそ空間重視のユーティリティカーといえばミニバンをイメージする人が多いだろうが、1990年代はステーションワゴンを連想するユーザーが圧倒的だった。そのきっかけは1989年にデビューしたスバル 初代レガシィ・ツーリングワゴンであることは間違いない。

しかし、その登場より約17年前の1972年。日産はスカイライン(C110型)のワゴンを市場に投入していたのである。レガシィ

1989年当時、栄華を誇っていたスキー場の駐車場の大半を占めたレガシィ・ツーリングワゴンの人気ぶりは、豪快な走りを楽しめるターボエンジンを用意していたことに加え、バンではなく乗用ワゴン専用設計だったところが大きい。

フォルムこそ商用バンに似ているが、セダンとかわらないシートや装備など快適性は段違い。多くの荷物を積載できるなど、多くの“ゆとり”を備えたステーションワゴンは90年代国内で大きなブームとなった。

先ほど述べたようにブームの牽引車はレガシィ・ツーリングワゴンであることは間違いないが、ブームが起こるはるか前にバンではなくステーションワゴンに特化したクルマが存在していた。

そのクルマとは、4代目スカイラインに設定されていた「スカイラインワゴン」だ。スカイライン

「ケンメリ」の愛称で1972年に登場した4代目スカイライン。排ガス規制などの影響により約4ヵ月で生産を終えたGT-Rなど、スポーツモデルの知名度が高いモデルだが、スカイラインワゴンもユーティリティを重視するユーザーから注目を集める隠れた人気モデルだった。

4代目スカイライン(C110型)が販売されていた当時、クルマに求めるのは走行性能や見た目だったにもかかわらず、新たな価値をクルマに見出したいというユーザーから支持を集めたのだ。

 

セダンをベースにアメ車のエッセンスを注入

“バンからの脱却”をテーマに開発された「スカイラインワゴン」の大きな特長は、スタイリッシュなエクステリアにある。スカイライン

全長4315mm×全幅1625mm×全高1405mmとショートノーズのセダンをベースに、ボディ65mm延長しワゴン化。リアウインドウをサイドパネルに湾曲してまわりこませるリアクオーター部の美しいデザイン処理がとくに目を惹く。
デザインンモチーフはセダンやハードトップ同様、当時のアメ車から引用しているがステーションワゴンが持つ“豊かさ”を表していた。スカイライン

新時代のクルマだということがエクステリアを見るだけで感じることができたのだ。ワゴンブームの先駆者、レガシィ・ステーションワゴンもセダンとは違う、新たなムーブメントを感じるデザインを身にまとっていた。

レガシィ・ステーションワゴンとの共通点といえば、走りに力が入れられていたこと。当時のセダン最高級グレードには、G18型1.8L直4OHC(最高出力105ps)を搭載し、4速MTを組み合わせ最高速度は160km/hを誇る。G18リアサスペンションは板ばねによるリジット式ではあったが、ワゴンには「スポーティGL」と名が付けられたように、軽快感がある走りをウリにしていた。

また、バンとの差別化を図るためインテリアも強化。3連丸型メーターが配されたインパネやトリコット表皮シートなど豪華な装備で“豊かさ”をアピールした。
週休二日制度がようやくスタートした当時、レジャーを楽しむための新たなセグメントとして「スカイラインワゴン」は大きなポテンシャルを秘めていたのは間違いない。スカイライン

ただ、レガシィ・ステーションワゴンと違いブームを巻き起こす存在になれなかったのは、時代の違いだけではなかったようだ。
シート収納方法やラゲッジルームの利便性、リアハッチの開閉など当時の自動車専門誌では苦言がなされている。ステーションワゴンに求められる、細かい工夫や利便性が高い装備・機能が追いついていなかったのだ。

とはいえ、「商用バンをただ豪華にした」だけのクルマでなかったことは事実。「スカイラインワゴン」には、サーファーを中心とした若者が飛びついたそうだが、それを象徴していた事例といえるだろう。

スポーツ色が強いスカイラインではあるが、2代目(S50型)から7代目(R31型)まで、ワゴンが用意されていたスカイライン。その中でも、とくに存在感がある4代目のスカイラインワゴンは、真正面からステーションワゴンに向き合った最初の国産車だった。


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