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シボレー・コルベットがFRを捨て世界最高のパフォーマンスを目指しMRとなった理由

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TEXT: 藤田 実寿  PHOTO: Chevrolet

世界のスーパーカーになるためミドシップを選択

 昭和の子供たちが好きなものを例えた言い回しといえば、巨人・大鵬・卵焼き。一方、アメリカ人が好きなものといえば、「ヤンキース・ジョーダン・コルベット」と、こんな言い回しはないものの、それほどにアメリカ人はコルベットが大好きだ。

 アメリカで唯一のスポーツカーとして1953年に初代がデビューして以来、いつの時代でもコルベットはアメリカ人の憧れのクルマだった。”C1″でFRPボディの先進性に虜にされ、”C2″のエッジのきいた先鋭的なスタイルに惚れ、”C3″のコークボトルラインのダイナミックさに魅了された。

 そして”C4″では一転、シンプルなラインのヨーロピアンデザインとなったスタイルに驚き、”C5″では完成されたスポーツカーの姿を目の当たりにした。”C6″でZ06とZR1の驚異的なパフォーマンスに度肝を抜かれたのも束の間、”C7″で伝統と革新が共存する再定義されたコルベットに心奪われた。

 そして2019年、ついにコルベットは”C8″へと進化し、いままで見たこともない新しいコルベットを見せつけた。

 フルモデルチェンジした最新型コルベットは、クラシックなプレスラインや盛り上がったフロントフェンダー、デュアルエレメントヘッドランプなど、コルベットのクラシカルなデザイン要素を受け継ぎつつも、全体としては大胆で未来的。

 アスリートの引き締まったボディのようなそのフォルムは、最新のジェット戦闘機やレーシングカーにインスパイアされたもの。ロングノーズ&ショートデッキのこれまでの歴代コルベットとは異なり、キャノピーがフロント寄りに配される。それはまるで最新の欧州ミッドシップスポーツカーのように……。

 そう、じつは最新型コルベットは、初代から伝統的に引き継いできたフロントエンジン・リアドライブ(FR)のレイアウトという枷を捨て去り、ドライバーの後方にエンジンを配するミッドシップエンジンレイアウトへと大変貌を果たしたのだ。ミッドに搭載するのは、LT2と名付けられた495hp(502馬力)を発する6.2リッターV型8気筒OHVエンジン。このエンジンとミッドシップエンジンレイアウトにより、C8はコルベット史上最高のパフォーマンスを実現しているという。

 思えばC4の頃からコルベットは徐々に、しかし確実に変化をしていた。ヨーロピアンデザインのスタイルを取り入れ、C5、C6とモデルチェンジを受けるたびにその姿は洗練され、大幅にパフォーマンスを向上させた。

 C7ではコルベットのアイコンでもあった丸形のテールレンズとラップアラウンド・リアウインドウを廃止することで、伝統よりも進化を優先することを主張。そしてC8でミッドシップになった。

 もともとコルベットはアメリカで唯一のスポーツカーとして、アメリカでナンバーワンであることが宿命づけられたクルマ。いつの時代も最先端の技術とノウハウが惜しみなく投入され、そしてついにC7でそのパフォーマンスはフロントエンジンリアドライブレイアウトの頂点に達していたのだ。

 またその一方で、コルベットが置かれた状況も大きく変化していた。当初はアメリカでナンバーワンのスポーツカーとしてアメリカ国内を主戦場としていたコルベットも、自動車業界のグローバル化により、その戦場が世界へと移り変わっていた。

 いまやコルベットは、世界という戦場でフェラーリやランボルギーニ、マクラーレンなどの欧州ミッドシップスポーツカー勢とガチンコで戦うことを義務付けられたスポーツカーになっている。

 さらなるパフォーマンス向上のために、そして欧州が誇るミッドシップスポーツカーに立ち向かうために、コルベットが選んだ手段がミッドシップ化なのだ。このミッドシップ化は、最高のパフォーマンスを体現し、アメリカでナンバーワンのスポーツカーから世界一のスポーツカーになるためのコルベットの挑戦に他ならない。

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