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電子制御からEVシステムまで、20年で劇的進化を遂げたクルマの技術とは

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TEXT: 中谷明彦  PHOTO: 三菱自動車、トヨタ、アウディ、メルセデス・ベンツ、BMW、Auto Messe Web

特別なクルマや技術がイッ気に普及

 2000年前後で加速的に進化したクルマの技術は多々ある。なかでも、今から23年前の1997年にトヨタが発表した初代プリウスは画期的だった。いまとなってはハイブリッドカーは一般的なクルマとして普及しているが、当時は特別な存在。そのような、わずか20年間で飛躍的に進化した、自動車技術に注目してみよう。

電子制御

 20年前というと、まさに電子制御の車両姿勢安定化装置が世に出始めた頃。その走りとなったのが、独ボッシュ社の開発したソフトウェアを採用し、1995年登場のメルセデス・ベンツSクラスクーペに初搭載された「ESP(エレクトリックスタビリティプログラム)」だ。その効果の有益性が認められ、世界中のあらゆるモデルに拡大採用されていく。

 ハード的には4輪のブレーキシステムとABS(アンチロックブレーキシステム)からなり、様々なセンサーを介して4輪のブレーキ液圧を個別制御するというものだ。 これにトラクションコントロールや電子制御ブレーキディストリビューションなどとも統合してコンピュータ制御。センサーの数や精度、制御の緻密さ、ロジックなどが年々進化し今日のレベルに達した。電子制御の進化が自動運転の基本構成部としても拡大適合されることから、今後も発展が見込まれている。

 

4WD技術

 4輪駆動(4WD=AWD)システムも20年で大きな変革があった。パートタイム方式が主流だった4WDシステムにセンターディファレンシャル機構を採用し、フルタイム4WDのスポーツカーとしてアウディが世に送り出したのは1980年代のクワトロ世代だ。これをきっかけに世界中のメーカーが様々な4WDシステムを開発し発展させてきた。 記憶に新しいのはフロント、センター、リアの3つのディファレンシャルを電子制御し、トリプル電制デフとして完成させた2004年のWRCマシン「三菱・ランサーWRC(ワールドラリーカー)だ。その走りはまさに自由自在のコントロール性で、ミッドシップレイアウトも低重心も不要と思えるほどコントロール性とトラクションに優れていた。 近年は、クルマのハイパワー化に合わせ4WDをラインアップするメーカーが激増。AMG、ランボルギーニ、ブガッティ、フェラーリでさえ4WDシステムを採用している。また、EVによる電動化時代にも4WD化がトレンドとして発展過程にあり、アメリカのテスラがそのパッケージングを牽引している。

 

電動化

 初代プリウスが登場したのは1997年。漫画「鉄腕アトム」を創作した手塚治虫氏に向けた「21世紀に間に合いました」というキャッチコピーで見事に未来感を表していた。それからの20年はハイブリッドシステムとEV(電気自動車)の発展の20年と言っても過言ではないだろう。初代プリウスでトヨタは200以上の特許を取得しており、その完璧な技術覇権で他社は全く追従できなかった。

 しかし、近年はハイブリッド技術の特許を無料公開し、また完全EVを完成させるメーカーも相次いで参入したため、電動化技術はイッ気に押し進められた。電動化技術は単に原動機を電動化するだけに留まらない。パワーステアリングやエアコンなどあらゆる電動化製品とリチウムイオンバッテリーのみならず、バッテリーの充放電マネージメントやリサイクルまで含め進化していかなければならない。 この20年の進化は圧倒的だったが、まだまだ完璧ではない。次の20年でどこまで飛躍できるのかにも注目していきたい。

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