一世を風靡した「グループA」終焉の原因はGT-R? 大人気レースなのに復活しない「もっともな理由」 (2/2ページ)

グループNはもっとも市販車に近いカテゴリーで改造範囲もかなり狭い

 グループAの下のカテゴリーでプロダクションカー(無改造車)と呼ばれ、もっとも市販車に近いのがグループN。ホモロゲーション取得(公認は車両の生産中止から7年まで)規定はグループAと同じだが、改造範囲はシート&内装の取り外し、サスペンション、ブレーキの交換、ECUの書き換えなど変更できるパーツは最低限。加えてロールケージといった安全対策装備以外、改造は認められていない。

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 FIA(おもにラリー)では1400㏄以下をN1、1401~1600㏄はN2、1601~2000㏄がN3、2000㏄以上がN4に分類される(日本自動車連盟[JAF]が決めたN1、N2とは異なる)。ターボ車の区分は排気量に1.7倍が換算されるのもグループAと同じだ。

 入門カテゴリーとして一定の人気があったが、グループA同様に2000年前後にラリーでは一部車種の寡占状態となり、グループRallyという改造範囲の広い新たなカテゴリーが新設。現在、グループNは日本国内ラリーでは独自の規定(JN1~JN6)を加えることで主流だが、WRCなどの欧州ではグループRallyがメインとなり、少数派になっている。

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 ちなみに日本のN1レースはFIAのグループN規定に沿ってJAFが制定したカテゴリー。国内であれば仮にFIAのグループNの公認を受けていなくても、JAFグループNの公認を受けていれば、レースやラリーに参戦することが可能だ。また、日本のスーパー耐久レースはN1レースの発展形で、上述したグループAと同じく、N1レースの規定をベースに改造範囲を広げた独自のレギュレーションで運営されている。

市販車の域を超えたラリースペシャルなマシン製作を可能としたグループB

 グループAのひとつ上のカテゴリーになるのがグループB。連続する12カ月間で200台生産すればホモロゲーションを取得できるため、大幅な改造を施した戦闘力の高いマシンの投入が可能。さらにグループA同様のエボリューションモデルに至ってはわずか20台の生産で公認を受けられたことから、数多くのメーカーやチームが参戦した。

 マシンはプジョー205ターボ16やランチア・デルタS4、フォードRS200、国産車では日産240RS(S110型シルビアベース)、トヨタ・セリカGT-TSなどがその代表格だ。サーキットでのレースも計画されたが実現せず、1982年のプレシーズンを含めて1986年までの5年間のみWRCでマシンが躍動した。車両はエンジン、パワートレインからエアロダイナミクスまで含めて完全な競技専用設計、マシンメイクは市販車というよりはグループCのようなプロトタイプ・スポーツカーに近かった。

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 ただ、1tを切るボディに500psオーバーのパワーはミドシップ4WDでも受け止めきれず、1986年のツールド・コルス・ラリーでのモータースポーツ史に残る大事故が発生。これによってWRCにおけるグループBカテゴリーは廃止され、翌年からグループA規定に移行した。その後、活躍の場を失ったグループBマシンたちはパリダカ、ヒルクライムなどの競技でその実力を見せつけることとなった。

幻に終わったグループSや廃止されたグループSTなどカテゴリーは数多い

 ちなみに、安全面、開発コストの高騰を含めてグループBの行く末を危惧したFISAはWRCに新たなカテゴリーの準備を始めていた。それがグループSだ。パワーを500psから300psに抑える代わりに、ホモロゲーション取得のための生産台数をわずか10台とすることで、さらなるメーカー、チームの参戦を促し、WRCを盛り上げようとしていた。だが、上述した大事故によりグループS構想はお蔵入りとなってしまった。

 今回はFIAのツーリングカーカテゴリーの主要なものを紹介した。だがこのほかにも、国内のグループA(JTC)レースの後を受け継ぎ、1994年から始まったJTCC(全日本ツーリングカー選手権・排気量2L以下の自然吸気エンジンを搭載する4ドアセダンレース)はグループST、凶暴なグループBよりも改造範囲が広く、1980年代に一世を風靡したR30スカイライン、S110/S12シルビア、910型ブルーバードをベースとしたシルエットフォーミュラと呼ばれたマシンたちのグループSPなど、廃止されたものを含めればまだまだある。では、国内でもっとも人気のあるスーパーGTはどのようなカテゴリーに属するのだろうか? それはまた、別の機会に紹介することしよう!

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