チャイルドシートの「後ろ向き装着」はいつまで? 厳格化された新安全基準「R129/i-SIZE」とは (1/2ページ)

チャイルドシートの「後ろ向き装着」はいつまで? 厳格化された新安全基準「R129/i-SIZE」とは

チャイルドシートを着用して座らせることが親の責務

 すべての運転者には、6歳未満の子供を乗車させる際にチャイルドシートを正しく装着し、着用することが法律で定められています。多くのクルマのシートベルトは、身長140〜145cm以上の人が使用した場合の安全を担保することが前提となっているので、6歳未満の子供の身長では十分な安全性が確保できないからです。

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 また、シートベルトを締めた大人が子供を抱っこして座ることも、一見安全そうに見えますが万が一の衝突時の衝撃は凄まじく、例えば速度が40km/hで衝突すると、人間にかかる衝撃は体重の約30倍。つまり体重10kgの子供なら300kgです。そんな重さを大人の腕で支え続けることは不可能です。本当に子供の命を守りたいなら、チャイルドシートに座らせるのが最も確実ということになります。

誤装着による事故での致死率は約29倍というデータもある

 ただ、その頼みの綱のチャイルドシートも、子供の成長に見合った製品を選び、正しく使用しなければ、十分な安全性は発揮されません。JAFの調査(2017年)では、約60%がチャイルドシートを誤使用しているという結果が出るなど、業界では長年その改善策に頭を悩ませてきました。せっかくチャイルドシートを装着していても、誤った使い方をすると事故の際の致死率が約29倍になるというデータもあるからです。

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 そんな中、チャイルドシートの安全基準に大きな変化がもたらされました。日本では、UNECE(国際連合欧州経済委員会)が定めるチャイルドシートの安全基準を採用していますが、従来の「R44/04」に加えて新安全基準の「R129」の適用がスタートしたのです。その一部として専門家委員会が設定されており、その適合証が「i-SIZE」となります。「R129」と「i-SIZE」はどちらも新しい安全基準をクリアしている製品です。チャイルドシートの新安全基準R129/i-Sizeを選ぶ画像はこちら

これまでは早過ぎた「後ろ向き」装着期間の基準を生後15カ月まで義務化

 では、どんなポイントが変わったのかというと、まずは従来の「R44/04」はチャイルドシートの使用時期の区分が子供の体重(kg)に基づいていましたが、「R129(i-SIZE)では身長(cm)で表示されることになりました。これにより、適正なチャイルドシートへの乗り換え時期が、より正確に判断できるようになっています。チャイルドシートの新安全基準R129/i-Sizeを選ぶ画像はこちら

 また今回「R129(i-SIZE)では「後ろ向き装着」をする期間も変わりました。まだ骨格が脆い乳幼児の命を守るためには、できるだけ長い期間、万が一の衝撃を広範囲に分散して受け止めることができる「後ろ向き装着」とすることが重要です。でも「R44/04」では体重9kg(およそ生後12カ月頃)から前向き装着ができるとされており、専門家からは「それでは早過ぎる」という指摘が多くありました。

「R129(i-SIZE)」では最低でも生後15カ月までは後ろ向き装着をしなければならないという規定に加え、もし生後15カ月を過ぎても身長76cm未満の場合は前向き装着は不可。ただし、後ろ向きで使用できる期間は製品によって異なるという注釈が入っています。チャイルドシートの新安全基準R129/i-Sizeを選ぶ画像はこちら

 この変化はとても喜ばしいことですが、生後15カ月でもまだ身長は80〜90cmという子供がほとんどで、骨格もまだまだしっかりしていません。とくに頚椎部(首)が弱いため、前向き装着では衝突の衝撃に耐えられず、万が一の際に大きな負傷を負う可能性が高いことがわかっています。

 交通事故での子供の死亡率が極端に低いスウェーデンでは、4歳頃(身長105cm程度)まで後ろ向き装着を徹底しているといいます。またi-SIZEの専門家委員会でも、同様の時期までの後ろ向き装着を推奨。子供の発育状況によって難しい場合もあるとは思いますが、できる限り後ろ向きの状態で子供をチャイルドシートに座らせることも、安全性を高めることにつながります。チャイルドシートの新安全基準R129/i-Sizeを選ぶ画像はこちら

 このほか、チャイルドシートの開発時に行われる衝突試験で、「R44/04」では前方・後方の衝突試験のみでしたが「R129(i-SIZE)では重傷リスクが高いと言われる側面(ドア側)からの衝突試験も義務化されました。また衝突試験の際に、人間の体にどんな負荷がかかるかを検証するために使う「ダミー人形」も最新のものになり、従来より計測センサーが増えたことで、より精密に検証できるようになっています。