気がつけばアルファードに惨敗! キング・オブ・ミニバン「日産エルグランド」の栄光を振り返る (2/2ページ)

低床低全高パッケージ化を推し進めた「3代目エルグランド」

 そしていよいよ、現行モデルとなる3代目が2010年にデビューする。晴れて3代目となった新型エルグランドは2.5代目の反省(?)から、FFレイアウトのメリットを最大限に追求。ムラーノ系Dプラットフォームを使い、ホイールベースを3000mmまで伸ばして専用化した。よってサスペンションはフロント:ストラット、リヤ:マルチリンクが奢られることになった。ボディサイズは先代より全長、全幅ともにほんの少し拡大。逆に全高は95mm低まっている。

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 しかも同時にわずかに前傾したフロアを平均100mm、1列目席部分で129mm下げたことで先代と変わらない室内高を確保。さらに、エンジンの搭載位置は100mmも下げられ、当然、重心も下がっている。それが運動性能、乗り心地(足まわりを硬めずに済むため)に効くことはもちろんで、とにかく低床低全高パッケージ化を推し進めた3代目と言える。

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 エンジンは240psからライバル同等の280psとなった3.5L V6のほか、先代の2.5L V6あらため、170psの低速トルク&燃費重視型2.5L直4を搭載。ミッションは5速ATから全車6速マニュアルモード付きCVTにあらためられている。特筆すべきは燃費性能向上をもたらす軽量化だ。3.5Lモデルは先代比20kg減でしかないものの、2.5Lモデルは直4化もあって、なんと100kgもの軽量化が図られている。結果、10-15モード燃費は3.5Lモデルが8.2km/Lから9.8km/Lに。2.5Lモデルは8.6km/Lから11.8km/Lまで向上している(3代目デビュー当時の数値)。

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FF化したことでインテリアの快適性が向上

 パッケージ、インテリアの進化も著しい。とくにフロアはFFプラットフォームの採用で歴然と低くなり、1列目席は地上390mmのワンステップフロアとなっている。インパネまわりのデザインは、あのフーガ(当時)を凌ぐほどの樹脂&木目調パネルの質感の高さ、セダンライクな絶妙な囲まれ感が新型らしさ。豪華さのあるシートデザイン、フロアのスッキリ感を含めたインテリア全体の仕上がりは、下手な高級セダンを凌駕するほどだった(くどいですが、当時の印象)。

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 一方、両側スライドドア部分は世界初のワンタッチパワースイッチ付きで、ついに窓が昇降するようになる。フロアは地上400mmのステップから95mm高い495mmの位置にあり、乗降性の向上もまた歴然だ。2列目席は大型化されたキャプテンシートがメインとなり、さらにシート一体型オットマン&中折れ機構も奢られる。ただし、2列目席のスライド量はライバルを凌ぐものの(520mm)、オットマン完備でも足を投げ出すような姿勢はとれない。とはいえ、身長172cmの乗員基準で頭上に250mm(先代195mm)、膝まわりに最大430mm(先代470mm)もあるのだから居住空間としては十分すぎるほど広い。

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 シートサイズを全方向に拡大した3列目席まわりも劇的に進化。乗降は2列目キャプテンシート仕様なら幅広いウォークイン間口、または2~3列目席スルーで可能。シートは先代の5:5分割から6:4分割としたことで、中央席の掛け心地が向上している。居住空間は身長172cmの筆者基準で、頭上方向は先代よりほんの少し狭まった程度の135mm。2列目席膝まわり空間を、当時のメルセデスベンツSクラスの後席同等の250mmにセットしたときでも、スバル・エクシーガ(当時)の2列目席を凌ぐ225mmもあるのだからゆったり、足が組めるほどだった。もっとも、2列目席が大きく立派すぎて、視覚的圧迫感があるのが難点だろうか。

 また、3列目席の格納方法がハネ上げ式から、当時としてクラス唯一のワンタッチフォールドダウン式にあらためられたのも注目点。女性でもアレンジ操作しやすく、格納時の斜め後方視界確保という点でもメリットは絶大である。

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低重心で走りも安定して扱いやすくなった

 3代目エルグランドは、走らせても目から鱗の進化ぶりを示した。乗降性はもちろん、ドラポジもまたほとんど乗用車感覚。走り出せばまずは先代とは別物の「低重心感覚」が際立った。先代までは軽すぎた(?)印象のパワステは適度な重さが出て、安心感たっぷり。クルマの動きはLLクラスミニバンとは思えないほど軽快で扱いやすくなり(特に鼻先が軽い2.5Lモデル)、静粛性も格段にアップ。また、山道を飛ばしても前後左右の姿勢変化は最小限。クネクネ道を走らせても安定感安心感は抜群だ。当時、同乗者のクルマ酔いのしにくさも確認している。

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 一方、開発陣が「キング・オブ・ミニバン」と呼んだ真打ちの3.5Lモデルは、フロント部分に集中する重量増を克服すべくフロントサスのみバネレートを15%程度高めにセッティング。とはいえ乗り心地は軽快感ある2.5Lモデルにないゆったり重厚なストローク感と、さらなる高級感あるもので、ライバル車との比較では、とくに段差を超えた際のショック、振動のなさが際立っていたと記憶する。

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「4代目」が宿敵アルファードにどうリベンジするのか注目

 そんな歴代エルグランドだが、現在、エルグランドがアルファードに人気、販売台数ともに圧倒されているのは周知の通り。走りというより、見た目の立派感、フォーマル感、ハイブリッドの有無、2列目席のバリエーションなどが、その主たる理由だと思われる。

 そうしたアルファードに後れをとってしまっていた部分を、2023年に登場する予定の、なんと13年ぶりに登場するかもしれない4代目エルグランドが、どう克服し、リベンジを果たすのか。シリーズハイブリッドのe-POWER、そしてリーフやアリアといったBEV(電気自動車)の経験も豊富な日産が満を持して送り出す新型が楽しみでならない。国産ハイエンドミニバンが、現状のように、アルファードの独り勝ち、独走ではつまらないではないか!

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