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5代目は最新技術テンコ盛りで勝負するも消滅! 最後のプレリュードってどんなクルマ?

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TEXT: 佐藤幹郎  PHOTO: 本田技研工業/Auto Messe Web編集部

ボディ剛性強化とシャーシ性能の追求などにより快適性とスポーティさを両立

 ボディは各部を強化したことで曲げ剛性で55%、ねじり剛性40%も向上させており、サスペンションもブッシュ類の強化やベアリングの高剛性化、リヤスタビライザーのピロボール化などで4輪ダブルウィッシュボーンを進化させた。とくに後輪のハブベアリングはベアリングスパンを拡大することでキャンバー剛性を32%も向上。これによりハンドリングの応答性や旋回ブレーキ性能が向上している。5代目プレリュードのダブルウィッシュボーンサスペンション

 詳しくは後述するが、タイプSに採用のATTS(アクティブ・トルク・トランスファーシステム)に合わせて、フロントサスペンションは旋回外輪の駆動力を内輪よりも大きくすると、それぞれのキングピン周りに発生する転舵トルクにも差が生じることになる。そのため、ボールジョイントを2カ所設けて仮想キングピンをボールジョイントと異なる位置に設定できる専用オフセットのダブルジョイント式を開発。5代目プレリュードのATTS

 またホイールセンターオフセットを43.7から25㎜として転舵トルクの差を低減し、操舵による安定性を向上。ダブルジョイント式を生かすために前後左右ともレバー比を向上させて、自然で快適で、そして安心して操れるサスペンションに仕立てられていた。これにより専用開発の205/50R16タイヤは、先代の55タイヤ以上の快適性を実現。MT車にはビスカスカップリング式LSDの設定や、小型軽量で反応とコントロール性に優れるブレーキ&ABSとしたことで、スポーツ性も向上させた。

プレリュードの代名詞とも言える4WSもさらに進化させた

 3代目プレリュードでいち早く採用された4WSは、30km/h以下の場合は後輪を逆位相に転舵。アクチュエーターのストローク向上や制御システムの精度向上によって、時速7km/h以下の走行なら従来の6度から8度へと改良された。これにより最小回転半径4.7mを実現(2WS仕様は5.5m)している。30km/h以上であれば、ステアリングの切り始めでは回答性を向上させることでアンダーステアを抑制。レーンチェンジなどでは同位相から逆位相まで微妙なコントロールを行うことで、車体の安定性が高められた。またアクチュエーターの制御でトー剛性を向上させ、後輪の安定性にも大きく貢献していた。5代目プレリュードタイプSの走り

 さらに先進技術の左右輪の駆動配分を行う新技術ATTSは、トランスミッションからデファレンシャルギヤ(以下:デフ)を経て、駆動トルクを左右で50:50に等分させて左右輪に力を伝えるのに対して、ATTS内の多板クラッチが左旋回用のギヤと右旋回用のギヤの結合具合を調整。例えば左カーブでステアリングを左に切った際には、外輪となる右側前輪に駆動力を多く分配してコーナリング性能を高め、直進時にはクラッチは作動せずに駆動力はエンジンからトランスミッション、デフ左右輪へと伝わり、普通のFFとして走行させるものであった。

 なお、左旋回時は左側のクラッチが減速から固定されると、デフで分岐された左右輪の駆動力が左輪用のサンギヤから三連ピニオンギヤ→右輪用サンギヤ→デフケース→右輪と流れて、右輪の駆動力が増す。右旋回時はこの逆で、旋回で左右輪の駆動力配分を行うクラッチの制御はコンピュータによって制御。基準はアクセル開度や車速、ステアリング舵角、横Gなどが協調制御させたもので、左右輪の駆動配分比率は80:20まで自在にコントロールすることができた。

 また、ATTS付きのABSは専用仕様で、ヨーレイトセンサーと横Gセンサーの情報も加えて制御するアクティブコントロールABSを採用。直進時は前輪のみを左右独立制御+後輪の3チャンネル制御により、コーナリング時では4輪の制動力を個別に司る4チャンネル制御とすることで、制動力を最適にコントロールできるようにしていた。

衝突安全基準を先取りしたパッシブセーフィティ性能も実現

 安全面では直線的なフレーム構造で優れたキャビンの強度と衝撃吸収性を確保。ドアには2本のドアビームを備えて、発売から2年後の新法規基準を先取りして採用。3点式シートベルトは運転席&助手席に加えて後席にも備わり全車標準装備としたほか、衝撃吸収パッドも奢られた。それでいてリサイクル材を各所に用いたほか、リサイクル可能材の採用を増やすことで環境性にも配慮していた。5代目プレリュードの高剛性ボディ

 現時点で最後のプレリュードは同じ排気量ながら4つのエンジンを持ち、AT/MT、4WSのありとなしが選べる、ホンダの渾身の一台であった。タイプSはMTのみであったが、それが正解だろう。5代目プレリュードSiR Sスペックのフロントスタイル

 1998年にはラインアップの整理とともに「SiR・Sスペック」を追加。「SiR」はAT、「SiR・Sスペックは「タイプS」と同じエンジンを搭載しLSD装備の5速MT採用の走りのモデルとしてユーザーに訴求した。シート表皮の変更やリヤワイパーの設定など、間口を広げるような改良が実施されるも2001年6月、23年の歴史に幕を閉じた。これまでにもプレリュード復活のニュースがスクープ情報として伝えられてきたが、インテグラのように公式なアナウンスはいまのところ聞こえてこない……。

■ホンダ・プレリュード・タイプS(BB6型)主要諸元
○全長×全幅×全高:4520mm×1750mm×1315mm
○ホイールベース:2585mm
○トレッド:前/後 1525mm/1515mm
○車両重量:1310kg
○最低地上高:140mm
○乗車定員:4名
○最小回転半径:5.7m
○室内長×室内幅×室内高:1755mm×1430mm×1090mm(サンルーフ付き高は1075mm)
○エンジン: H22A型直列4気筒DOHC VTEC 16バルブ
○総排気量:2156cc
○最高出力:220ps/7200rpm
○最大トルク:22.5kg-m/6500rpm
○サスペンション 前後:ダブルウィッシュボーン式
○ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
○タイヤサイズ 前後:205/50R16

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  • 5代目プレリュードタイプSのスタイリング
  • 5代目プレリュードのATTS
  • 5代目プレリュードSiRのフロントスタイル
  • プレリュードXiのフロントスタイル
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  • 3代目プレリュードのフロントスタイル
  • 5代目プレリュードタイプSの走り
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