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いまじゃ考えられないライバル車への挑戦状! カタログでマジバトルを繰り広げたセリカ vs スカイライン

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

名ばかりのGT、道をあける vs ツインカムを語らずに真のGTは語れない

 その後、1977年8月にスカイライン、セリカともに足並みを揃えるかのようにフルモデルチェンジ。スカイラインは数えて5世代目の通称“ジャパン”に、セリカはエアロダイナミクスを意識した3次元フォルムに生まれ変わった。

 そして1979年8月にセリカが角目4灯へとフェイスリフトを受けたマイナーチェンジで、例の戦争が勃発(←目下の世界情勢を鑑みると憚られる比喩表現ではないが)。セリカが、“いま熱い血が甦る、新セリカ”“名ばかりのGT達は、道をあける”とやったのだった。トヨタ・セリカ

 このとき広告に登場させていた赤いクーペ、じつは1600GTであり、搭載エンジンはすでにEFI化されていた1.6Lの2T-GEU型だった。そしてこのタイミングで2000GTについてもEFI化した18R-GEU型を搭載し135ps/17.5kg−mのスペックをモノにし、スカイライン2000GT-E系に対し+5ps/+0.5kg−mのアドバンテージを見せつけつつ、DOHCをもたないスカイラインを“指摘”した。“ツインカムを語らずに真のGTは語れない”とまでやって……。

 その売られた喧嘩(!?)に答えるかのように1980年4月、スカイラインがターボを登場させたのだった。曰く“今、スカイラインを追うものは誰か”。搭載エンジンのL20ET型はスペックを145ps/21.0kg−mを達成。カタログに“「省燃費」と「高性能」を両立させた夢のエンジニアリング、大人のGTです”と謳い、“道が開いたら、アクセルを軽く踏み込んでみてください。さて、ここから後を言葉にするのは、いかなる詩人をもってしても不可能なようです”と、じつに意味深長な文面まで載せていた。日産スカイライン

“あのR383開発の過程でターボを学びつくった設計者の手、気性の激しいターボは見事に調律されました。”などとも書かれている。ご存知のとおり日産のターボ車は430型セドリック/グロリアが最初で、910型ブルーバードに遅れること1カ月、しかしフェアレディZよりは1年早くスカイライン・ターボが登場。ライバル車ながらセリカの“名ばかり……”のコピーが、今考えるとスカイライン・ターボ登場の援護射撃になったのでは? とも思えたりして。

 スカイラインとセリカのよきライバル関係はその後も続いた。次に仕掛けたのはスカイラインのほうで、6代目R30世代に、レース由来のFJ20型4気筒16バルブDOHCを投入。“1シリンダー・2バルブのDOHCエンジンほど、スカイラインにとって受け入れがたい存在はなかった。(中略)DOHCエンジンは1シリンダー・4バルブでなければ意味がない。”と第三者でも震え上がりそうな文面までカタログに載せたのだった。

 一方でセリカも1982年9月、その前年にフルモデルチェンジを果たしたA60型に、それまでの2Lに代わるフラッグシップの位置づけとして、日本車初のツインカム+ターボの1.8L、3T-GTEU型を設定し、LBのGT−Tに搭載。160ps/21.0kg−mの性能と11.2km/Lの燃費を実現した(同年10月にはグループB仕様のGT−TSも発売)。トヨタ・セリカ

 スカイラインも1983年2月に“スカイライン史上最強”を謳うDOHCターボ(FJ20ET型、190ps/23.0kg−m)搭載の2000ターボRSを設定、さらに1984年2月にはインタークーラーの採用で205ps/25.0kg−mに性能を上げるなどしたのだった。日産スカイライン

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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