日産新型「フェアレディZ」に初試乗! MTとATの走りの違いは? 歴代ZのFRスポーツのDNAは受け継がれたか? (2/2ページ)

2022年/新型RZ34:圧倒的に速いAT、小気味よく楽しいMT

 そして2022年、待望の新型Zの発売である。それにしても、基本をキャリーオーバーしたなかで、そして最新装備を加えながら価格上昇を可能な限り抑え、この仕上がりはお見事というか、久々の脱帽ものだ。

 テストコースという限られた環境、時間のなかでの試乗なので、細かいところまでは知れないが、従来のZ34に比べて圧倒的に走りが洗練されている。じつは、この試乗の1週間ほど前に前Z34の「Version ST」(7速AT)の広報車をお借りして乗っておいたので、その進化度合い、違いが手にとるようにわかったのだが、まずはエンジンがいい。ターボとしてのパワーとトルクの厚みとターボらしからぬレスポンスが同居し、しかも全域スムースだ。

 乗ったのは「Version ST」(9速AT)とベースグレード(6速MT)。これはトランスミッションによる差だけでなく、前後異サイズの19インチタイヤ+機械式LSD+対向ピストンブレーキに対して、前後同サイズ18インチタイヤ+オープンデフ+シングルピストンのブレーキという違いを知りたかったためのチョイスだ。

 ATにもMTにもローンチコントロールが備わるが、クラッチをいたわる意味から、使用を許されたのはATのみ。これがじつに巧みな全力発進を行う。MTでは、駆動輪のスリップ率を効率が高いとされる30%程度に抑えた発進を試みて、大方目論み通りにアクセルとクラッチコントロールをできたと思えたが、それでもATのローンチコントロール使用のほうが確実に速い。

 さらにアップシフトは、ミッションを若干いたわりながらのほぼ全開シフトでも、ギヤステップ比の小さいATによる素早い変速には適わない。やっぱりもうATの時代だな、と思うも、スポーツドライビングでは、シンクロレブコントロールに助けられたMTのダウンシフトは、これまた小気味よくて楽しいのだった。

 ただ、シフトフィールを改善したというMTだが、シフトストロークそのものはむしろ大きくなっており、操作感が心地よくなっているか、正確性を増したかは微妙だった。

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ドライバーの意思にしっかり応える気持ちいい走り

 それにしてもこのエンジン、全域でなめらかでいてパワフルだ。速度リミッターが180km/hで作動してしまうが、4速でも5速でもアクセルワークに対して自在の加速性能を有する。このアクセル操作に対するパワーの出方もまた、ドライバーの意思を尊重している。

 グレードによる違いが大きく現れたのは、高速域の安定性。どちらも荒れた路面でも悪くないのだが、ダウンフォースをしっかりと感じさせた安定感が得られるのはフロント&リヤにスポイラーを備えたVersion ST。これと比べてしまうとベースグレードは心持ち落ち着かない。輸出仕様の速度リミッターが、スポイラー付きの仕様は250km/h、無しの仕様では220km/hに設定されるのも、この高速安定性によるという。

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 ハンドリングでは、オープンデフのベースグレードも、持ち前の高い接地性を活かした自然な動きを備える。タイヤの絶対的なグリップを抑えていることもあって、その気になれば心地よい滑り感も得られる。もちろんVersion STは旋回速度自体が高く、後輪駆動としてはVDCの介入までも余裕がある。いずれにしても、ブレーキングから旋回姿勢に入るまでの一連の動きがドライバーの意思をしっかり反映するもので、不自然さ、嫌な動きといったものは、ほとんど生じない。

 今回のワインディングコースでの試乗は日常のテスト時とは逆周回での走行のため、かつての記憶も役にたたなかったのだが、それでも強い緊張感を強いられることなく、気持ちよく走れた。Version STは旋回限界が高いこともあって、後輪の滑り出しが少し唐突に感じることもあったが、それも含めて、ただただ「心地いいね、この走り」で試乗を終えた。

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 これまでのZ34に比べて、音の面でもスピーカーから奏でられるエンジン音がしっかりスポーツマインドをそそるものであったり、耳について仕方なかったロードノイズや、リヤゲート周りに起因するドラミングも消えてすっきりとしたなど、日常の走りの中での快適性も高められていることも確認できた。

「なんだ、型式はZ34のままじゃない」という声もあるようだが、歴代Zを振り返ってみても、これはZのあるべき姿にきっちり仕立てられてきたもの、と思えている。

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