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日産「S14/S15シルビア」は間違いなく名車だった! 「デートからドリフト」までこなしたバブル期の遺産とは

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TEXT: 佐藤幹郎  PHOTO: 日産自動車/Auto Messe Web編集部

  • S14型シルビア

  • S15シルビアの走り
  • シルビア オーテックバージョン K′s MF-Tのフロントスタイル
  • S14シルビアの走り
  • S14型シルビア

デートカーとスポーツカーの二面性を持つS13/14/15シルビアの多面性とは 

 日産のモータースポーツ活動のなかで早くから爪痕を残したシルビアは、バブル期に発売された5代目のS13シルビア(1988年5月)が話題になることが多い。端正なフロントマスクとスポーティなスタイリング、そしてCA18型とマイチェン後に搭載されたSR20型の直4エンジンを採用。サスペンションはフロントにストラット式、リヤに先進のマルチリンク式を備え、このサスペンションがもたらす走りは、後輪駆動の優位性だけでは説明しきれないパフォーマンスを発揮した。

 そして後継モデルであるS14シルビアも素晴らしいスポーツカー兼デートカーだった。

 S14を最初に試乗したのは関東にあるとあるサーキット。スタッフに「意図的なドリフトは禁止です」と言われていたから先輩方は、それはもう意図的ではないドリフトで華麗な走りを披露。希望通りの限界性能をしっかりとチェックしていた。

 そして自分の試乗時間が来てステアリングを握ると『なんとコントロールしやすいクルマなのか!』と感嘆。回頭性は素晴らしく抜群のトラクション性能を見せてくれたことを今でも覚えている。右足に力を入れればテールスライドがいとも簡単にできるし、アクセルを踏み過ぎてもテールハッピーになり過ぎることはなく、ステアリング操作に対する応答性もじつに滑らか。少しオーバーな表現になるが、クルマと会話ができる、まさに走らせることが愉しいクルマであった。

3ナンバー化でボディが拡大! 車両重量も大きく増量

 もちろんボディが大きくなり(全長4500mm×全幅1730mm×全高1295mm※S13 K’s比:全長+30mm×全幅+40mm×全高+5mm)、さらに重たく(車両重量1250kg※S13 K’s比:+130kg)なってしまったのは事実だが、エンジン出力は220psに向上しており、シャシー&サスペンションも熟成。さらにタイヤ性能も大幅に高まり、後輪駆動の2ドアクーペとしてしっかりと進化を果たした。

 ポテンシャルがアップした好印象は一般道でも変わらず。先代から引き継がれたトランプの絵札から引用したグレード名のK’sには、直4DOHCターボのSR20DETエンジンは最高出力220ps/6000rpm・最大トルク28.0kg-m/4800rpmを搭載。Q’sとJ‘sには最高出力160ps/6400rpm・最大トルク19.2kg-m/4800rpmを発揮する自然吸気のSR20DEを採用している。それでいて車両重量は1200kg程度なので、先代よりも100kg前後の重量増ではあるものの、それほど走りに影響を与えるものではなかった。S14シルビアの走り

 一般道(市街地)での楽しさといえば、足で操作するABCペダルと左手で操るシフトノブ、そして手のひらを使って舵取りするステアリング操作に加え、アクセルを踏む・離す分だけ加減速できる反応の良さは、思い通りにクルマを操ることがことができた。もちろん、それを実現させるためのギヤのセレクトと適切なシフト操作が重要であり、ぐにゃぐにゃした操作感では気持ち良く走らせることはできない。だが、節度がありながらもタイト過ぎない操作感は市街地でも扱いやすく、ステアリング操作も路面の状況をリニアに感じ取ることが可能であった。

 例えば大雨で道路とタイヤの接地感が希薄と感じればそれに対応できるし、狙ったラインをしっかりトレースすることができれば、これこそが日産が掲げた901運動の哲学が少なからずS14シルビアにも影響を与えたと言えるだろう。

3ナンバー化以上に不評だったのはシャープさを失ったデザインか?

 すでにコストダウンのためにほかの車種と部品共有が図られていたが、そこはまだバブル期。内外装の設えに、いかにもなチープさを感じさせることはなく、運転席はもちろん、助手席に乗車している分には不満のないフロントシートであった。発売直後から不評だったスタイリングは個人的にはバランスがとれていると感じており、デートカーとしても、スポーツクーペとしても充実したスタイリングとパッケージング、そして走りの性能を兼ね備えていた。ただし、唯一不満があるとすれば一度操作したら出番があまりないエアコンの操作パネルが中央の絶好のポジションに配されていたことぐらいか……。

 また、S14シルビア前期のアンチ派がいるとすれば、その要因はR32型からR33型へとモデルチェンジした際にファンをざわつかせたのと同様に、少し膨よかに見えるエクステリアデザインだろう。日産はその声を受けて後期型ではシャープなスタイリングへとイメチェンを図ったが、今度は尖ったスポーティさが顔を覗かせてしまいデートカーとは呼べないクルマになってしまった。

 そして後期へと進化したからといって売り上げが大幅にアップすることはなく、もちろんスタイリングの好みには好き嫌いがあるだろうが、かえってバランスを崩してしまったと言える。S13からの正常進化と捉えると、3ナンバー化されたとはいえ後期ではなく前期が正しかったのかもしれない。

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