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日産「S14/S15シルビア」は間違いなく名車だった! 「デートからドリフト」までこなしたバブル期の遺産とは

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TEXT: 佐藤幹郎  PHOTO: 日産自動車/Auto Messe Web編集部

ターボ仕様はエンジン出力を大幅に向上! 5ナンバーサイズへと回帰したS15

 現時点で最後のシルビアとなるS15だが、先代S14の反省をもとに5ナンバーサイズに戻ったと言われている。スタイリングはS14後期の正常進化のようなシャープでスポーティな印象で、いかにも走りを期待させるルックスだ。

 グレード名はトランプの絵札からの引用を止め、ターボモデル=スペックR(6速MT・4速AT)、NAモデル=スペックS(5速MT・4速AT)に改められた。2L直4DOHCターボのSR20DET型エンジンは最高出力250ps/6400rpm・最大トルク28.0kg-m/4800rpm(※4速AT車は最高出力225ps/6000rpm・最大トルク28.0kg-m/4800rpm)へと一段と高性能化が図られている。

 対して2L直4DOHC NAのSR20DE型エンジンはS14からエンジンスペックに変更がなく、最高出力165ps/6400rpm・最大トルク19.6kg-m/4800rpm(※4速AT車は最高出力160ps/4000rpm・最大トルク19.2kg-m/4800rpm)に止まった。S15シルビアの走り

 サスペンション型式はフロントにストラット式、リヤにマルチリンク式を3代(S13/S14/S15)に渡り継承。5ナンバーサイズのコンパクトボディとなったが、車両重量はS14と同等の1240kg(スペックR)と、比較的軽量な車両重量も相まって、軽快かつスポーティな走りに磨きがかかった。これこそがS13の正当な後継車だと考えることもできるが、いかがだろうか?

 インテリアもスポーティであり、ダッシュボードには多連メーターを連奏させる丸型のエアコン吹き出し口が配置され、センタークラスターにはカーナビやオーディオがインストールされたほか、歴代シルビアを紡いできた視認性の高い各種メーター類は健在。これぞスポーツカーとなった。

デートカーよりもスポーツ性能をより追求したS15シルビア

 もちろん走りも楽しいものだった。経験値が豊富なドライバーが自制心を持って街を流すだけでもFRスポーツの楽しさを享受することができ、ターボ車のスペックRはもちろんNAのスペックSでも、峠道では誰でもテールスライドができるほどパワフルでコントロールしやすく、ステージをサーキットに移せばノーマル車でもドリフト走行が堪能できるほど。兎にも角にも操作性に優れた正統派のスポーツカーであった。

 それでも、疑問がないわけではない。長期休暇中にS15シルビアを遠方へ連れ出し、土地勘がない峠道を走っていたところ、前を走る地元の軽自動車の後ろを追いかけるべく付いていくと(こういうクルマは滅法速い)、後輪の挙動が後席の乗員には楽しくない(テールスライドする)状況となってしまったのである。

 ドライバーはすべて自分の管理下における面白さがあったのだが、後席は大変だった……。ここで気が付いたのだが、S15シルビアは良くも悪くもドリフトができてしまうスポーツカーで、対照的に国産初の電動ハードトップのフルオープンカーとした登場したヴァリエッタは、S15では珍しいデートカーとしての使命が課せられたモデルだったと言えるのではないだろうか。

 否、基本的にS14後期からシルビアは真性なスポーツカーとなってしまい、デートカーとかおしゃれな2ドアクーペであることを放棄してしまったのではないか……。

販売台数だけでは評価できない最終世代シルビアの名車ぶり

 こうした評価は決して悪いことではなく、シルビアがスポーツカーであることに不思議はない。だがS13の成功を振り返ると、端正なスタイリングは万人から支持されるスマートなものだったし、S14前期も同じで、走りも快適性も両方を大切にしていた部分がスポーツカー兼デートカーであった。ところがS14後期からスポーティ路線が強まり、1997年にはS14後期に「オーテックバージョンK’s MF-T」が登場。そして、よりスポーティなデザインとより高性能なシャシー&エンジン性能を引っさげて、現時点で最後のシルビアとなるS15が2000年にデビューした。シルビア オーテックバージョン K′s MF-Tのフロントスタイル

 振り返るとS13の販売台数は約30万台、S14が約8万5000台、S15が約3万台と、クルマの魅力度とは裏腹にモデルチェンジを行う度に、販売台数が稼げなくなっていった。その結果、S15でシルビアは一旦休止。ここで気が付いたのだが、じつはデートカーというジャンルはS14の時代から存在意義を失っており、すでにミニバンのホンダ・オデッセイやトヨタ・エスティマが登場するなど、クルマの多様化でますますスポーツカーの存在意義が薄くなってしまう。

 そして現在の1990〜2000年代のネオクラ旧車の人気ぶりには驚かされるばかり。ノスタルジーにひたりながらS13〜S15までの各モデルを振り返ると、販売台数だけでは推し量ることができない魅力に溢れており、間違いなく今もときめく名車の1台だと言える。

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  • S15シルビアの走り
  • シルビア オーテックバージョン K′s MF-Tのフロントスタイル
  • S14シルビアの走り
  • S14型シルビア
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