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ランボルギーニ「ウラカン テクニカ」と「STO」の違いの本質とは? 最後にして最高のV10ランボルギーニでした

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TEXT: 西川 淳(NISHIKAWA Jun)  PHOTO: Automobili Lamborghini S.p.A.

ウラカン史上、最高のファン・トゥ・ドライブ

 ウラカン テクニカの国際試乗会は、スペインはヴァレンシアのサーキットを起点に開催された。

 午前中はサーキットを使ってのテスト。STO譲りのパワートレーンの実力を試すには、やはりトラック試乗が必須だろう。STOほど大掛かりなエアロデバイスこそ装備されないものの、この状態でもスタンダード仕様より空力性能はかなり上。例えばダウンフォースは35%増え、空気抵抗は20%減っている(EVO RWD比)。

 パワーウェイトレシオ2.15という数字は伊達ではなかった。コルサモードで走り出せば、加速は劇的で、つなぎは素晴らしくダイレクト。プロが先導するSTOに必死になって追いすがるうちにあることに気づく。コルサモードでもリアはある程度スライドし、ドライバーに制御する楽しみを残してくれていた。

 ウラカンにはストラダーレ/スポルト/コルサという3つのドライブモードが用意されており、オーバーステアを許すスポルトがドライビングファンモードだったのに対して、ニュートラルステア傾向のコルサは速いけれども楽しくないモードだった。

 ところがテクニカではコルサでも十分楽しめる。もちろんスポルトならいっそう楽しいが、コルサモードでこんなに楽しいと思えるランボルギーニは初めて。制御で無理やりにオンザレール走行させられているのが従来のコルサモードだったが、まるで違う。スポルトほど大袈裟ではないけれど、明らかに後輪の自由度が増してドライバーに積極的なステアコントロールを要求するのだ。これが本当に愉快。コルサモードでファン・トゥ・ドライブな唯一のランボルギーニだ。

 ラップタイムを測ればきっとSTOをコルサモードで走らせた時が最も速かっただろう。直線はもちろんコーナーで驚異的な速さをみせたSTOは汗をかくことなく速く走ることのできる、トラック重視のマシンだった。テクニカは違う。もっとドライバー寄りで、速く、楽しい。

 ウラカン自慢のフィードフォワード制御が最終進化形となって、リアステアも効果的に制御できるようになり、高出力の2駆でもほとんど完璧にコントロールできるようになったのだろう。リアが多少流れ出しても慌てることなく対処でき、容易に立て直すことができる。もちろんクルマがクルマをコントロールしているわけだが、サーキット走行中のドライバーにはそんなことを考える余裕はない。640psのリア駆動ミドシップカーを自在に操っているという、ただただ爽快で愉快な気分に満たされた。

サーキットだけでなく一般道でもウラカン史上最高

 サーキット試乗を終えた午後からはヴァレンシア郊外のカントリーロードを中心に200km以上をひとりでドライブする公道テストである。

 前述したようにトラックでは専用シャシー&サスペンションとSTOと同じ設計のブリヂストン ポテンザの組み合わせがじつに愉快なドライブフィールを提供してくれたわけだが、一般道では流石に硬く、ソリッドな突き上げに面食らうこともしばしば。とはいえSTOよりは明らかにしなやかに走ってくれ、乗り心地もどちらかというとEVO RWDに近い。乗り心地だけでいえば、AWD系のドライブフィールの方が普段使いには適していると思う。

 とはいえ、前輪が思うままに動くことだけはRWD系の長所と言ってよく、テクニカではそれがEVO RWDやSTOよりも顕著で面白い。後輪操舵の制御を含めて、扱いやすく、それでいて自由自在に操ることができる。初めて走る狭い山岳路(ほとんどサイクルスポーツセンターのような道)でも気兼ねなくペースアップできるのだから、サーキットのみならずワインディングでもウラカン史上、最高のファン・トゥ・ドライブを誇っていた。

 サーキットではヘルメットを被っていたし、じっくり楽しんでいる余裕もなかったが、自然吸気V10エンジンのサウンドもウラカン史上最高だった。電光石火のギアシフトフィールも切れ味鋭く、変速そのものが楽しくなってしまう。とくにシフトダウン時のブリッピング音はクルマ好きを虜にすることだろう。

 ピュアなV10自然吸気エンジンを積んだミドシップスーパーカーはおそらく、これが最後。ブランドの復活を支えたスーパーカーシリーズは、ウラカン テクニカという素晴らしい集大成モデルでその役目を終えようとしている。次世代ハイブリッドモデルには環境性やインフォテイメント、コネクタビリティのみならず、ウラカンを上回るドライビングファンをピュアに期待したいものだ。

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