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トヨタ「ハイラックス」のキャンパーで「アメリカ放浪」に挑戦! 3度目のチャレンジでなぜ日本車を選んだのか?──米国放浪バンライフ:Vol.01

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TEXT: 牧野森太郎  PHOTO: 牧野森太郎

アメリカを気ままに放浪3カ月・プロローグ

 これまで2度にわたりアメリカを放浪してきた筆者。還暦を過ぎた2022年4月から7月にかけて、人生3度目のアメリカ一人旅にチャレンジしてきた。相棒は、トヨタ「ハイラックス」をベースにしたキャンピングカー「ドルフィン」。愛称は「ドル」。3カ月にわたる旅路をリアルにリポートする第1回は、クルマを現地で自分名義で用意するまでをお届けしよう。

「アメリカ放浪記 第1章」はカントリーホーム製「バナゴン」キャンパー

 アメリカを放浪したい。そう思い始めたのは、いつからだったろう? 原点をたどれば、中学生のときに観た、映画『イージー☆ライダー』だったのかもしれない。そのほかにも、『俺たちに明日はない』、『アリスの恋』、『レインマン』、『ペーパームーン』、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』など、ロードムービーと言われる映画に心を惹かれ続けた。小説では決定版『オン・ザ・ロード』がある。

 その夢を実現せんと「アメリカ放浪記 第1章」に踏み出したのは、忘れもしない2001年だった。カントリーホーム製VW「バナゴン」キャンパーを2000ドルで購入(愛称:バナチン)、ロサンゼルス在住の友人とコツコツ修理をしながら旅を始めた。

 なぜ、2001年が忘れられないかといえば、同時多発テロが起こった年だったから。アメリカ行きの航空券が激安になり、これ幸いと頻繁に旅に出た。今はなきバリグ・ブラジル航空さんには、ホントお世話になりました。

 カリフォルニア、アリゾナを3年かけてウロウロし、2004年、一念発起して全米一周を企画。エンジンを信頼あるリビルトに載せ替え、ラジエターも新調した。ところが、ニューメキシコへと取材を兼ねた慣らし運転に出かけたその日に、炎天下のアリゾナでガスケットが吹っ飛ぶ最悪の結末。放浪記第1章は、天国から地獄へまっさかさまに撃沈する悲劇となった。

「アメリカ放浪記 第2章」はウエストファリア製「バナゴン」キャンパーで全米一周

 それから数年は悪夢から目を逸らせるようにじっとしていたが、次第に「果たせなかったアメリカ一周」が脳裏をかすめ始めた。そして、2008年、「アメリカ放浪記 第2章」に着手する決心をした。同じVWバナゴンでも、今度はウエストファリア製を購入(愛称:ウッちゃん)。当時は清水の舞台から飛び降りる覚悟で大金を投じたつもりだったが、今、考えれば8500ドルはお買い得だったかもしれない。

 VW「ゴルフ」のディーゼルエンジンに換装されたクルマで、本当によく走ってくれた。途中で何度かトラブルはあったものの、ピッタリ3カ月でアメリカ(小回り)一周、1万1000kmを走破した。しかも、旅の終わりに買い取り委託をしていたVWショップにバイヤーが現れて、7500ドルで売却できるという、これ以上ないハッピーエンドで第2章は幕を閉じたのだった。でも、ウッちゃんと別れるときは辛かったな。いつまでも忘れないよ。本当にありがとう!

還暦を過ぎた2022年、「アメリカ放浪記 第3章」へ

 あれから14年。もうないと思っていた「アメリカ放浪記 第3章」が始まる。ここで冒頭の自問に戻る。アメリカ放浪に突き動かされる衝動はなんだろう? もちろん、コロナ禍もある。羽根をもがれた鳥のようにどこにも行けない鬱屈が、新しい旅を求めたのかもしれない。アメリカで都市を離れて郊外に出れば、どこよりも安全といえる。国境を越える際の面倒な検査もない。素晴らしい自然がある。キャンプ場や安モーテルを渡り歩けば、格安に旅ができることも知っている。

 しかし、一番の動機は、やはりアメリカ放浪が、ぼくにとって「自由/freedom」そのものだからだろう。ローティーンの頃から憧れていた世界にもう一度、浸りたい。日程も決めずにロードマップを相棒に大陸を走る。それは中毒になるほど魅力的だ。それがすべてなんだと思う。

「第2章」では、バナゴンの横にテントを張るスタイルで旅をしたが、今回はモーターホームを購入することにした。古いモーターホームで国立公園や魅力的な町を訪ね歩くという、よりアメリカらしいスタイルで、ぼくの「アメリカ放浪記 第3章=最終章(?)」を飾りたい。

アメリカで自分名義でキャンピングカーを登録したい!

 アメリカ放浪を決行するにあたり、重要なのは、なんと言ってもクルマ。前回の旅を終えてからも、レンタカーやレンタル・キャンピングカーでアメリカを旅行する機会はあったが、当然ながらクルマへの愛着がわかない。逆に、クルマとの一体感こそが旅の充実に直結することを体感した。自分の部屋と同様に体になじんでこその相棒なのだ。14年前と同じように現地でクルマを購入して、旅が終わったら売却する作戦だ。

 そして、驚くことにアメリカでは自分の名前でクルマを登録することが可能だ。日本では住民登録などの証明が必要だが、アメリカではそれが不要。友人の住所を借りることができればそれでいい。今回も自分の名前で登録し、保険もきちんと入って名実ともにマイカーにしたいと考えている。

 クルマ探しの大役を任せたのが、ロサンゼルス在住のMAKOTOさん。ムーンアイズ(MOONEYES)の社員として1997年に現地に赴任し、その後、Road & Skyを設立して独立した。現在はムーンの仕事を中心に、日本からの依頼に応じたクルマ探しとシッピングを行っている。ぼくは彼が日本にいる時からの付き合いで、今回のミッションも快く引き受けてくれた。

 ぼくからの希望はトラックベースのキャンパーで、なるべく小型のもの。予算は1万2000ドルからスタート。予算からして高年式は無理だが、クラシックな雰囲気が楽しめるモデルがベストだ。単純なイメージから「ウイネベーゴ製なんか、いいなぁ」とお伝えした。

 さっそく、クレイグリスト(アメリカの個人売買サイト)を中心にfor saleの物件が次々に送られてくる。しかし、安心して乗れそうなクルマは、軽く2万ドルを超えている。近年、アメリカでも趣味のクルマの値段は上がっている。予算内で食指が動くものがなかなかない。たまに出る「これはいい!」というクルマは即、売れてしまう。一筋縄ではいかないことが、すぐに分かった。

思った以上にキャンパー探しは難航

 クルマ探しを始めて1カ月、様子見の状態が続くなか、「気ままな一人旅なら、ベッドに載せるシェル型のキャンパーはどうですか」と、MAKOTOさんから提案があった。確かに架装型のキャンパーは広すぎる感はある。探す範囲を広げれば、希望のクルマに出会えるチャンスも増える。また、走行時はキャビンのルーフの高さに畳めるスマートなタイプがあることを知った。これなら走行時の空気抵抗も小さいし、軽量で燃費も良さそうだ。

 さらに、送られてきた売り物で目を引いたのがバン。フォード「エコノライン」をハイルーフに改造した「チヌーク」というキャンパーは、リヤゲートもあって使い勝手が良さそう。もちろん、ドライバビリティもいい。このタイプも候補に加えることにした。

 選択肢を広げ、予算を1万5000ドルにアップしても、これぞというクルマは現れない。シェル型のきれいなキャンパーを見に行ってもらったが、写真とは裏腹にボディ下部の木の部分が腐っていて、現実の厳しさを思い知らされた。しかも、トラックから外されて放置された状態で、電気や水がきちんと使えるか、試すことすらできなかった。旅のスタートに設定した2022年4月まで、残る時間は1カ月半となった。

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