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1000馬力の世界最速「F40」ロードカーはなぜグレーにペイントされた? 跳ね馬は酷使されても跳ね馬に蘇る!

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Courtesy of RM Sotheby's

世界一速いロードゴーイングF40とは?

 RMサザビーズ「Monterey」オークション出品時に添付されたドキュメントによると、700psスペックへの改造は有名なミケロットとのコラボレーションで行われたとのこと。

 加えてデーヴィッド・ハート氏によって改造され、ハートとマイク・ヘーズマンスがドライブする「フェラーリ/ポルシェ・チャレンジ」に参戦。1998年には再びH・W・テ・パス/デーヴィッド・ハート/バート・プローグの3人体制で同シリーズに参戦したこともヒストリーに残されている。

 1997年後半、このF40はフェラーリのコレクターでレーシングドライバーとしても知られるミシェル・オプリー氏に売却。彼はそれまでレースで走らせていたフェラーリ348 GTから乗り換え、1990年代末から2006年までフェラーリ・ポルシェ・チャレンジで大きな戦果を挙げた。

 その後はイギリスに本拠を置くレーシングチームに売却され、2009年までレースを続けたことが判っている。

 2019年に現在の所有者が入手したのち、このF40はイタリア・マラネッロの有名なボディショップ「ザナージ(Zanasi)」グループに入庫した。フェラーリのファクトリーから目と鼻の先にあるザナージは、フェラーリと60年近くにわたる関係を築いており、フェラーリの特別塗装プログラム「エクストラカンピオナリオ」のペイント担当、「テーラーメイド」エディションの製作、「イコナ」シリーズ製作のオフィシャルショップとしても認知されている。

 ザナージによるボディワーク修復の一環として車体は完全に分解され、ペイントは総剥離。伝統的な赤ではなく3層の「グリージョ・ナルド(Grigio Nardo)」に再塗装されるとともに、対照的なエレクトリックブルーのファブリックシートと「スクーデリア・フェラーリ」のシールドが際立つ、独特のスタイルで仕上げられた。同時にメカニカルパートも整備されて、1992年にレースカーへと転向して以来、約30年ぶりにロードカーとして公道を走ることができるようになったという。

 ザナージにおける一連の作業についての請求書は、わずか数カ月前に完了したという作業も合わせて12万3000ユーロ以上を計上していたとのことである。

 現在では、入念なセットアップによって700ps〜1000psのパワーを生み出すとされ、RMサザビーズ社のオークションカタログでは「本当にスリリングなドライビングエクスペリエンスを実現する」と記されていた。

最低でも5億円以上、ひょっとしたら10億円超えも!?

 ところが実際の経緯は不明ながら、オークションを前にしてこのF40は突然出品を中止。そののち世界中のエンスージアストが動静を注視していたのだが、この秋になって再びプライベートセール、衆人環視のオークションではなくRMサザビーズ北米本社の得意客のみを対象として、個別に販売されることになったようだ。

「世界一速いロードゴーイングF40」とも言われるこのナルド・グレーのF40は、8月のオークションでもエスティメート(推定落札価格)が明かされず、今回もプライベートセールのセオリーどおり販売価格を公表してはいない。

 しかし、同じ「Monterey」オークションでは北米仕様のF40ストラダーレが385万5000ドル。当時の日本円換算で約5億2700万円という価格で落札されたことを思えば、それ以上の価格でなければ商談が進まないのは間違いないところであろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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