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ダイハツ「コペンGRスポーツ」は欧州風味の「クーペ・カブリオレ」でした。電動ハードトップ車が生産されている奇跡に感謝!【AMWリレーインプレ】

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TEXT: AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)  PHOTO: AMW 竹内耕太/ダイハツ工業/トヨタ自動車

ボディ剛性と足まわりをスポーティにした「GRスポーツ」

 さて、コペンのノーマル仕様にはまったく乗ったことがないので、試乗の前提知識として、GRスポーツ独自の装備を確認しておこう。「GRヤリス」はじめGRシリーズと共通のアイコン「ファンクショナル マトリックス」グリルをまとったフロントバンパーは、トヨタお得意の空力性能も自慢。リヤバンパーにもディフューザー形状が与えられている。

 最大の売りはボディ剛性と足まわりだ。フロア下に専用のブレースを装着して剛性をアップするとともに、リヤアクスル前方にはリヤの揚力を抑制する「スパッツ」を奢っている。KYB製の専用ショックアブソーバーはあえて減衰力を低めた「しなやか」志向で、ハード志向の「コペンS」と対極の位置づけとなっている。電動パワステも専用チューンで、5速MT仕様には「スーパーLSD」も備わる。ただし今回乗ったのはCVT仕様だ。

ワインディングで予想を裏切る気持ちよさを体感!

 街中を流している分にはごく普通の軽自動車の、足が少し硬めな乗り味といった印象だ。はじめオープンにしていたものの、渋滞にはまっていると寒くなってきたのでクローズに。電動ルーフの開閉は約20秒で、信号待ちの間に余裕で切り替えられるのはありがたい。マツダ「ロードスター」現行型のソフトトップはよくできているので座ったままでも軽々と開閉できるが、それはそれ。電動でウイーンと動くカラクリ仕掛けだけで、ひとつのエンターテインメントなのだ。

 屋根を閉めるとさすがに遮音性が高いものの、周波数によってはロードノイズが車内に大く反響するのがやや気になった。「軽だからこんなもの」と納得することもできるが、約238万円とすでに軽の粋を超えかかった価格ならば、もう少しプライスアップしてでも、上質感をプラスしてもいいかもしれない。

 高速道路では空力性能と剛性アップのおかげだろう、直進安定性が高くステアリングフィールも落ち着いたもので、ロングドライブもさほど苦にならなそうだ。追い越し車線に入るときなどベタ踏みでパワーを使い切って走れるのも、軽ならではの愉悦というもの。

 と、ここまでは「ふーん」くらいの印象だったのだが、山のワインディングに入ったとたんに超絶的、圧倒的な楽しさを味わうことになった。コペンGRスポーツのスイートスポットはまさにここ!

 普通に乗るぶんには何の感動もない直3ターボエンジンも、4000rpm付近をキープして走ると力強く響いてくれるし、コーナーにアプローチするとステアリング切り始めからスーッとフロントがロールしていき、リヤもしっかり路面を捉えてくれる。路面が荒れてゴツゴツしたコーナーでも接地感を失わず、フラットな姿勢で曲がっていけるのがなんとも気持ちいいのだ。

 慣れてくるにつれて、FFスポーツでの走り方を思い出し、適切な荷重移動ができるようになればなるほど道に吸いつくようなコーナリングを味わえる。ドライビング技術の基本を学んで上達を実感していけるという意味では、「GR」シリーズのエントリーモデルと位置づけられているのも納得だ。

 ただしブレーキはごく普通の「軽のブレーキ」で制動力が心もとない。もしオーナーになれば、真っ先にブレーキを強化したいところ。そんな不安もあって、それほど攻め込むことはなく、先日乗ったS660と比較すればコーナーでの速度域はかなり低いのだが、走りの楽しさそのものは十分以上といえる。このような性格だから、5速MTではなく今回乗ったCVT+パドルシフト仕様で十分に思えた。

* * *

 ちなみにコペンは電動リトラクタブルハードトップでありながら、屋根を閉めた状態ならリヤのラゲッジスペースは258Lも確保できる(オープン時は44L)。現行型ロードスターが130Lなので、デイリーカーとしての使い勝手の良さはオープンカーとしてはピカイチ。ふたり乗車での旅行も難なくこなせる。

 ハードトップの快適さとオープンカーの気持ちよさを両方とも味わえる、欧州流「クーペ・カブリオレ」が日本のガラパゴス規格「軽自動車」として生き残って、こうして多くの人のカーライフを豊かにしているのは誇るべきことだろう。そこにニュル仕込みのチューニングを施してスポーツドライブの喜びを増したのが、コペンGRスポーツというわけだ。

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  • AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)
  • AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)
  • 田舎の大学院で古代インドのサンスクリット語を研究していた元・学者の卵。クルマ遊びにハマって中古車販売店で1年働いた後に出版業界へ。クルマやカルチャー系の雑誌のほか、翻訳書、人文書、地図帳、写真集など手がける。クラシック・フォルクスワーゲンが趣味の中核で、愛車は1963年式カルマンギア。数年前に都内から小田原へ移住し、賃貸ガレージハウスでリモートワークしつつ、箱根や伊豆のワインディングをのんびりドライブする日々。
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