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フレディ・マーキュリー効果で相場の3倍のプレ値に! 10年以上フレディが乗ったロールス・ロイス「シルバーシャドウ」の落札価格は?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Courtesy of RM Sotheby's

間違いなくフレディが乗っていたロールス

 故フレディ・マーキュリーの後半生を綴った大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、名優ラミ・マレック扮するフレディが、銀色のロールス・ロイス・シルバーシャドウに乗るシーンもいくつか映されていた。

 劇中車は今回の出品車とは異なるナンバープレートが付けられており、同一の個体かどうかは現時点では確認されていないものの、少なくともこのシルバーシャドウが元フレディ・マーキュリーの愛車であるというヒストリーは間違いないようだ。

「シルバー・チャリス(Silver Chalice)」のボディカラーに、淡いブルーの本革インテリアに仕上げられたこのシルバーシャドウは、1974年6月に英国内で初登録され、名門ディーラー、ジャック・バークレーを介して販売されたという。

 この個体の初期の姿は記録されていないが、1979年にフレディ・マーキュリーの所有する「グース・プロダクション」社が入手したと記録に残っている。ただしフレディは終生運転免許を取得しなかったことから、このロールス・ロイスを自ら運転したとは考えにくいとのことである。

 それでも、10年以上にわたってフレディのもとにあったシルバーシャドウは、クイーンが大ヒットを重ねた全盛期から彼自身が逝去する直前まで、個人運転手をつけて移動をともにした特別なクルマなのである。

 今回のオークション出品にあたり、ワークショップの請求書に「フレディ・マーキュリー」のサインが記された記録簿も含まれるファイルが添付されていたとのこと。またこのファイルに収められたドキュメント類の多くは、「ボヘミアン・ラプソディ」にも登場したフレディの元パートナー、破局ののちも友人として生涯フレディを支え続けたメアリー・オースティンの名前で記録されているという。

 くわえて、長らくクイーンのバンドマネージャーを務めていたジム・ビーチからの手紙が、この個体がフレディの所有車だったことを証明している。ビーチの証言によると、1991年11月にマーキュリーが逝去したあとは、実妹のカシミラ・クックがこのシルバーシャドウを受け継ぎ、その後2003年にフレディ・マーキュリー財団から買い取ったとのことだ。そしてこのロールス・ロイスは、今回のオークション出品車である現オーナーが入手するまで、カシミラと彼女のパートナーによって長年にわたって大切に保有されてきたという。

フレディ効果か!? 驚愕の落札価格

 オークション出品時におけるシルバーシャドウは、新車時代からフレディ・マーキュリー所有時代にも引き継がれた、シルバー・チャリス外装/ブルー本革内装を維持しているが、長期間走らせることなく保管されていたため、走行前にメカニカルパートの点検を受ける必要があるとアナウンスされている。

 実際の競売ではビッド(入札)がどんどん進み、終わってみれば28万6250ポンド、日本円に換算すると約4800万円で落札されることになった。

 R-Rシルバーシャドウのマーケット相場価格は、クラシックカーの価格が世界的に高騰している現在にあっても比較的穏当に推移しており、要整備のコンディションであれば500万円~600万円くらいがボリュームゾーン。1000万円~1500万円も出せば、内外装および機関部まで最高にコンディションの個体が入手できることを思えば、やはり近年『ボヘミアン・ラプソディ』で爆発的に人気再燃したフレディ・マーキュリー効果は絶大ということだろう。

 ちなみに今回の収益金は、ウクライナを支援するために設立された慈善団体「スーパーヒューマンズ・センター(Superhumans Center)」へ寄付されたとのことである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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