アウトドア派の愛犬家にとってはセレナだが……

では、それぞれの特徴的ドッグフレンドリーポイントを紹介すると、セレナはまずe-POWERモデルにAC100V/1500Wコンセントが付けられる点だ。これがあると出先の車内外で家電品、例えばコーヒーメーカーや簡易電子レンジなどが使え、愛犬と入れるカフェ、レストランなどがない場所でも、車内外が「どこでもドッグカフェ」になる。眺めのいい場所にセレナを止めれば、それはもう気持ちのいいカフェタイムを愛犬と水入らずで楽しめるというわけだ（新型ステップワゴンにAC100V/1500Wコンセントの設定なし）。

そしてデュアルバックドアも、車内の換気に有効。フロアとの位置関係から、開けていても飛び出しにくい構造なのである。

走行面でもセレナのe-POWERはドッグフレンドリーだ。とにかく静かで乗り心地が良く、聴覚に優れた犬にとって、車内の静かさは大きなドッグフレンドリーポイントになる。

愛犬用ドッグアクセサリーの充実度はホンダ！

一方、ステップワゴンのドッグフレンドリーポイントと言えば、まずはフロアの低さが挙げられる。スライドドア部分はもちろん、ラゲッジフロアもまた510mm（3列目席格納時の実測）と低く、どちらも開口部とフロアに段差がないところが嬉しい。

そして新型ステップワゴンe:HEVモデル最大のドッグフレンドリーポイントが、走行中の車内の圧巻の静かさ、それもボックス型ミニバンにありがちなこもり音も皆無に近いこと。聴覚に優れた犬にとって、これほど歓迎すべき点はない。しかも乗り心地は素晴らしく、カーブなどでの姿勢変化もセレナより少なく最小限。これは車内でどこかにつかまれない犬にとって最適な走行性能と言えるのだ。

そして、どうやってもセレナやノア&ヴォクシーが敵わないステップワゴンのドッグフレンドリーポイントが、純正ドッグアクセサリーの豊富さだ。

ホンダは純正アクセサリーを手掛けるホンダアクセスがHonda Dogシリーズという愛犬と愛犬家向けのブランドを展開している。後席用のペットシートサークル、ペットシートマット、ペット車外飛び出し防止リード、ペットドアライニングカバー、そして助手席&後席に安全に設置できる小型犬専用のペットシートプラスわん2などを揃えている。愛犬用ドッグアクセサリーの充実度では、世界屈指と言えるのが、ホンダなのである。

＊　＊　＊

というわけで、フロアの高さ＝犬の乗り降りのしやすさと純正ドッグアクセサリーの充実度では、ステップワゴンがリードしているというのが、モータージャーナリストではなく、ドッグライフプロデューサーとしての筆者の結論だ。とはいえ、e-POWERの走行性能、AC100V/1500Wコンセントの装備を含め、とくにアウトドア派の愛犬家にとっては、一転、セレナが優位に立つことは間違いないところである。