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「フェラーリ」のディテールが散りばめられた「フィアット」は284万円と超お買い得!「130クーペ」にしては安かった理由とは?

「フェラーリ」のディテールが散りばめられた「フィアット」は284万円と超お買い得!「130クーペ」にしては安かった理由とは?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

フェラーリのディテールを与えられたフィアットは、300万円以下で落札

2023年の「St. Moritz」オークションは、スイス・シュヴィーツ州フライエンバッハに本拠を置く「イセリ・コレクション」から出品されたクルマたちを中核として構成されており、その中には多くのフィアット実用モデルたちが含まれていた。

濃いメタリックブルーにレッドの本革インテリアを組み合わせたこのフィアット130クーペは、イセリ・コレクションの所在地からほど近いスイス・チューリッヒにて1973年8月13日に初登録されたもの。その後のヒストリーについては公式カタログには記されていないものの、1987年から1995年までの7つのサービススタンプを含む、フィアット正規ディーラー発行のメンテナンス証明書が車両に添付されているとのことである。

このドキュメントが示すところによると、直近では2020年2月にブレーキキャリパーとパッド、エンジンマウント、タイヤ、フルードの交換など、7000ユーロを投じた大規模なメンテナンスが実施されたようだ。
写真を見る限りでは、内外装のコンディションは上々といえる。同時代のフェラーリBBや365GT4/2+2などと酷似したメーターパネルのデザインや、この数年後にフェラーリ400ATにも流用されるATセレクターなど、ピニンファリーナ製ならではのディテールも、ほぼ完璧な状態で維持されている。

この極上コンディションに自信を得ていたのか、RMサザビーズ欧州本社はイセリ・コレクションとの協議のもと、2万5000~3万5000スイスフランというエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ところが実際の競売ではビッド(入札)が進まなかったようで、エスティメート下限を大きく割り組む1万7250スイスフラン。日本円に換算すれば、約284万円での落札に終わってしまい、売り手の期待は裏切られることになってしまった。

この落札価格自体は、近年におけるフィアット130クーペのマーケット相場におおむね準ずるものながら、予想を大きく下回る結果に終わった理由はいくつもあるのだろうが、たとえばステアリングが少々アクの強いデザインの純正樹脂製2本スポークから、比較的新しい時代のナルディ「クラシック」ウッドに換装されているなど、レストアのテイストが現在のマーケットのオリジナル志向とは異なることも要因だったのかもしれない。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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