ホイールに縁石に接触したと思われる傷があるものの……
今回RMサザビーズのアリゾナ・オークションに出品されたモデルは、2005年のジュネーブ・ショーで発表された「62S」の2008年モデル。搭載されるエンジンは6Lに排気量拡大されたメルセデスAMG製のV型12気筒ツインターボで、その最高出力は550ps、最大トルクは1000Nmを発揮する。
車重は2800kgを超える重量級の1台だが、このV12エンジンに5速ATを組み合わせ、後輪を駆動するパワートレインは、つねにスムーズな、リアシートに着席するVIPを快適に移動させる走りを演出した。
出品車のマイバッハ62Sは、ブラックのフィニッシュで統一されたもので、インテリアでは高級なレザー素材やピアノ仕上げのウッドパネルに施されるホワイトのパイピングが効果的なアクセントとなっているのが分かる。リア・コンパートメントはまさにプライベート・ジェット機のような空間だ。シートは個別に調節可能なリクライニング機構を備え、ドリンク・チラーとグラスを備えたコンソールがその間にレイアウトされる。アメリカ仕様では珍しいというディビジョン・ウインドウ(キャビンの前後を独立した空間とするためのウインドウ)にはデュアルビデオモニターも装備されている。
オークションの時点で約1万7090kmの走行距離が記録されていたマイバッハ62S。ホイールには軽度の縁石に接触したと思われる傷があるものの、全体的には素晴らしいコンディションを保っている。
RMサザビーズでは10万~15万ドル(邦貨換算約1480万~2220万円)と、比較的幅広いエスティメート(推定落札価格)を提示していたが、最終的な落札価格はそれを超える17万9200ドル(同2650万円)にまで跳ね上がった。
アメリカのスーパーリッチは、メルセデス・マイバッハという、現在のサブ・ブランドとしてのマイバッハではなく、やはり独自のボディを持つマイバッハに興味を持っていたということなのだろうか。