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「ミウラ」や「カウンタック」より古いランボルギーニ初の市販モデルは9000万円オーバー! どうして初期の「350GT」は高価なのか?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

 

ピュアでレアな350GTは、やはり市場価値も高い?

このほどRMサザビーズ「ARIZONA 2024」オークションに出品されたランボルギーニ350GTは、希少なアルミニウムボディで製作されたうちの1台。「ブルー・ノッテ(ミッドナイトブルー)」のボディカラーに、「タバッコ」レザーというシックな色合いの組み合わせで納車された、唯一の350GTであったと考えられている。

シャシーやエンジン、ギアボックスのナンバーはすべて、ランボルギーニ本社発行のオリジナル証明書のコピーに記載されているものと一致した、いわゆる「ナンバーマッチ」。また1965年に最初のイタリア人オーナー、A.コミティに引き渡されたときのままの姿を、今なお高レベルで留めていることがわかる。

この350GTは1971年に大西洋を渡り、北米ワシントン州シアトルのスティーブ・ナイマンによって購入される。そして2013年にニュージャージー州在住のリチャード・モルケに譲渡するまで、ナイマン氏は42年間もの長きにわたり、この偉大なランボルギーニをわがものとする栄誉に恵まれたことになる。

いっぽう、晴れてこの元祖ランボルギーニのオーナーとなったモルケ氏は、サンディエゴの「ボビレフ・モーターカー・カンパニー」の社主である著名なランボルギーニ・スペシャリスト、ゲイリー・ボビレフ氏に愛車を委ね、2013年から2016年にかけて、メカニズム系とボディ内外装の両方を含む完全なレストレーションを行わせる。

そして修復作業が完了した350GTは、2016年の「アメリア・アイランド・コンクール・デレガンス」に出品され、クラス1位を獲得した。

2017年になるとこのランボルギーニは、長年にわたってヨーロッパ製の優れたパフォーマンスカーの熱心なコレクターであった現オーナーへと譲渡された。現オーナーの所有のもとでは、6基のキャブレターやイグニッション、クラッチ、パワーウインドウなどを可能な限り完璧な状態に近づけるため、6万ドル近くの費用が投入されたという。

またドライバビリティの向上を図るため、後期型350GT用の5速マニュアル・ギアボックスが取り付けられたのも、このサービスを受けた時とのことである。

さらには前述したランボルギーニ本社の証明書コピーのほか、オリジナルのオーナーズマニュアル、広告用パンフレット、レストアを記録した写真集、現オーナーのために行われたサービスについての指示書やインボイスも、今回の売却時には付属されていたそうだ。

ランボルギーニ伝説の第一歩となったモデル、350GTを代表するような素晴らしい1台に、RMサザビーズ北米本社と現オーナーは協議の結果として60万ドル~75万ドルのエスティメート(推定落札価格)を設定。2024年1月25日に行われた競売では63万2000ドル、日本円に換算すれば約9380万円で競売人の小槌が落とされることになった。

この落札価格は、近年におけるランボルギーニ350GTのマーケット市況から比較しても、まずまずの成果と思われる。マイナーチェンジ版に相当する「400GT 2+2」の相場価格に比べると1.5倍~2倍にもおよぶ評価は、希少価値の高さやよりピュアな成り立ちにくわえて、350GTがランボルギーニの第一作であるという歴史的価値も重要視されていることの証明と思われるのだ。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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