エンジンとミッションも完全にオーバーホール
エクステリアではAMGによる控えめながら空力に有効に作用するスポイラーや緩やかにロールするフェンダーなどでドレスアップされ、ホイールも16インチ径のAMG製モノブロックに変更された。サスペンションは純正のスプリングをカットすることで、車高もローダウン。リアサブフレームの補強や新設計のアンチロールバーの装備なども行われていた。走りへの対応はエンジンもシャシーも、まさに万全といったところだった。
カスタマーの中には、当然のことながらマレットではなくハンマー仕様の300TE 6.0を求める者もいたが、マレットから50psのエクストラを得るためには。さらに200時間の追加作業時間が必要であること。そして価格は6万5500ドルも高い設定となることで、アメリカ市場での販売は断念された。
ちなみにAMGには、1989年2月にドイツのプフォルツハイムの建築王のために、さらに1台のハンマー・バージョンを納車した記録が残る。ほかにもAMGは300TEをベースとしたモデルを製作するが、それらはいずれも直列6気筒の3.2L、3.4L、3.6Lといった排気量拡大版にすぎなかった。
ここで紹介したマレットは、アメリカに上陸して以来、シカゴやニュージャージーのオーナーのもとに収まるが、その間に大規模なサービスを数回にわたって受けている。特に2002年に行われたサービスでは、約4万4000ドルの化粧直しと再コミッショニングが施され、その間にエンジンとトランスミッションも完全にオーバーホールされた。
サスペンションは500Eから調達したヘビーデューティーなショックアブソーバーとスプリングに交換され、その走りは新車時と同等の魅力を取り戻した。RMサザビーズはこのAMG 300TEマレットに30万~40万ドル(邦貨換算約4500万円~6000万円)のエスティメートを掲げたが、最終的な入札価格は46万7000ドル(邦貨換算約7005万円)まで高騰した。
近年独立チューナー時代のモデルに注目と人気が集まりつつあるAMG。その台数は限られているだけに、それらはオークション・シーンでもこれからさらに貴重なモデルとして、そしてマニアックな存在として扱われていくことになるのだろう。
























































































