画期的なエンジニアリングが採用されたMP4-12C
12C GTスプリントのベースとなった「MP4-12C」は、あらゆる点で画期的なエンジニアリングが採用されたモデルだった。軽量なカーボンファイバー製シャシーのモノセルに始まり、リアミッドに搭載される3.8LのV型8気筒ツインターボエンジンと、7速SSG(DCT)。シャシーでは独創的なブレーキステアやプロアクティブ・ダンパーや電動油圧式ロール・コントロールなどの採用で、クラストップレベルのハンドリング性能を実現していた。
その第一印象から優れたエアロダイナミクスを感じさせるエクステリアデザインは、フランク・ステファンソンによるもので、「すべてのデザインは機能に従う」という哲学が徹底されていることも見た目にも明らかだ。330km/hという最高速により、それは商業的にも大成功を収め、2011年から2014年までの間に3500台が生産された。
MP4-12Cよりも明らかにアグレッシブな姿に
さて12C GTスプリントに話を戻そう。12C GTスプリントには、やはりそれに独特の仕様がある。基本的なシャシーやエンジン、ギアボックスはロードカーに等しいが、エンジンの最高出力は600psから616psに向上し、ブレーキステアなどの電子制御デバイスも、サーキットでの使用に最適化されている。さらにインテリアではLEDダッシュボードやコンペティションシート、さらにマルチポイントロールケージなど、レース仕様のミニマムな装備を採用。雰囲気としてはGT3マシンとロードカーのちょうど中間にあるフィニッシュが醸し出されている。
また外観では19インチのセンターロックホイール、スリックタイヤ、GT3を彷彿とさせるフロントバンパー、ラジエター、フロントスプリッター、ボンネット、フロントウイングルーバー、リアウイングの装着により、MP4-12Cよりも明らかにアグレッシブな姿となっている。
最初に生産された12C GTスプリントの個体
今回の出品車は、その14台しか存在しない12C GTスプリントの中の1台。新車でアラブ首長国連邦を拠点とするレースチーム、ドラゴン・レーシングにデリバリーされたものだ。シャシーナンバーの最後には「007」のナンバーが打刻されているが、実際には最初に生産された12C GTスプリントで、納車は2013年に行われている。それ以降レーシングチームに所有されたということもあり、メンテナンスは完全な状態。2022年には大がかりな整備も行われている。
幸運な次のオーナーを決めるオークションは、7万~9万ドル(邦貨換算約1048万~1347万円)と、やや控えめなエスティメート(予想落札価格)が示されて始まったが、落札価格も8万6250ドル(同1292万円)と、その範囲内で落ち着いた。これは12C GTスプリントがいわゆるサーキット専用車であるため、公道走行用の登録が不可能であることなど、さまざまな事情が影響してのことらしい。
























































































