やっぱり“クラブスポーツ”は霊験あらたか?
2024年11月のRMサザビーズ「Munich 2024」オークションに出品されたポルシェ968CSは、1993年モデルのEU仕様車。ファーストオーナーに納車された際に発行されたインボイスによると、ボディカラーは新車当時からブラックで、インテリアもブラックの組み合わせとされた。
そして1993年3月5日にベルギー、リエージュの「TAGポルシェ・センター」社に引き渡され、この段階からオプションとして消火器とラジオが装備されていた。
特筆すべきは、この車両が新車から現在に至るまでワンオーナーであること。今回のオークションカタログに詳細は記されてはいないものの、サービス履歴などは容易に入手できよう。また、このカタログ作成時のオドメーターは6万8365kmを表示していたとのことである。
RMサザビーズ欧州本社は「ポルシェが4気筒エンジンを搭載した最後のフロントエンジン・クーペである968の特別仕様車として人気の高いこのクラブスポーツは、ワインディングロードだけでなくサーキットでも間違いなく快適だろう」という謳い口上とともに、水冷4気筒ポルシェとしてはかなりの高額とも思われる5万ユーロ~8万ユーロ(当時のレートで約805万円〜約1288万円)のエスティメート(推定落札価格)を提示していた。
生産台数がわずか1437台と少ない
そして、2024年11月23日の競売では順当にビッド(入札)が伸びたようで、終わってみれば6万9000ユーロ、当時のレートで日本円に換算すれば約1110万円という、なかなかの高価格で競売人のハンマーが鳴らされることになったのだ。
ちなみに新車当時の日本仕様は、エアコンやパワーウインドウを残した状態で40台のみ正規輸入。車両価格は968ベースモデルが710万円だったのに対して、クラブスポーツは豪華装備の少ないぶん645万円に抑えられていたとのこと。
いっぽう現在の国際マーケットでは、スタンダードの968クーペは安いものでは300万円以下、高いものでも600万円くらいで推移していることから判断しても、市場での価値は完全に逆転したことになる。
968CSの生産台数がわずか1437台(ほかに諸説あり)という希少価値はもちろんだが、それ以上に1980年代以降のポルシェにおける「クラブスポーツ」のプレミアム効果が、たとえトランスアクスルFR+4気筒モデルであっても大きく作用していることを証明しているようである。











































































