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4億円に届かず…前期型フェラーリ「F40」が落札! もっともピュアな姿をした第2次スーパーカーブームの火付け役の「スペチアーレ」の来歴とは?

4億円に届かず…前期型フェラーリ「F40」が落札! もっともピュアな姿をした第2次スーパーカーブームの火付け役の「スペチアーレ」の来歴とは?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

最高速度は324キロを記録

これぞいかにもスーパーカーのそれだと誰もが感じるボディデザインは、あたかも空気の壁を切り裂くかのような鋭さを持つが、これは当時ピニンファリーナのチーフスタイリストであった、レオナルド・フィオラバンティの手によるものとされる。

究極の機能美、F40のスタイリングを表すにはこのような言葉が最適だろう。そしてさらに驚かされるのは、このボディに使用される軽量素材の数々。カーボンやケブラーを筆頭に、パート別に効果的に使い分けられた素材は、いずれも軽量でそして強靭な特性を持つ。結果288GTOと比較すると、F40はそれよりも60kgも軽量な1100kgの車重を実現しているのだ。

F40の心臓部ともいえるパワーユニットは、3LのV型8気筒ツインターボ。これには最大過給圧で1.1バールが設定されたIHI製のターボチャージャーがツインで装着され、最高出力では478psを発揮した。組み合わせられるトランスミッションは5速MT。ディファレンシャルは40%のロッキングファクターが設定されたLSDで、ファイナルは2.73と最高速をかなり強く意識した設定となっている。じっさいにフェラーリがF40で発表した最高速は324km/h。その数字には圧倒的なバリューがあった。

1988年になって生産が開始されたF40は、当初400台ほどの限定車とされる予定だったが、その人気は予想をはるかに超え、結果的に1992年まで1311台が生産された(諸説あり)。

ピュアな前期型、落札価格は……?

今回紹介した1989年式は、F40としてはかなり早い段階で生産されたヨーロッパ仕様で、しがたってキャタライザーや、1991年から標準装備されることになった、車高をミニマム/ミディアム/マキシマムの3段階に切り替える車高調節機能も装備されていない(フェラーリは1991年前期型以前のモデルにも、そのオプション装着を可能としていたのだが)。ある意味最もピュアな、前期型F40の姿がここにあるといってもよいだろう。

「83052」のシャシーナンバーを持つこのF40は、1989年10月25日に、マラネロ工場からモデネーゼ・フェラーリ・エージェントモーター社へと出荷され、その後フランスに渡った。さらにイギリスで登録された「83052」は、フェラーリのエキスパート、DKエンジニアリング社を通じて、イギリスのジョンソン氏に売却。2001年6月にはロンドンのボンド・ストリートで開催された権威あるフェラーリ・オーナーズ・クラブ・コンクール・デレガンスにも招待されている。氏はフェラーリが推奨する5000kmごとの整備スケジュールに従い、DKエンジニアリングでメンテナンスを欠かすことはなかったという。

2016年にはフェラーリクラシケの認定も得た、由緒正しき1988年式F40。注目の落札価格は197万3750ポンド(邦貨換算約3億7983万円)という数字で落ち着いた。これからも、もちろんその価値が下がることはないだろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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