カラーコンビネーションも新車時と同じ
出品車は、この中でデレック・ベルがワークス・ドライバー時代にカンパニー・カーとして使用したS4 クラブスポーツのプロトタイプ。ポルシェのエンジニアは、その走りをより魅力的なものとするために、ストレート・ツインテールパイプ・エグゾーストや、クラブスポーツスタイルのホイール、ワイドなリアトラックの設定など細部にまで改良の手を加えたという。その作業はボディワークにも及び、結果、軽量化に関しても大きな効果を発揮した。
グランプリ・ホワイトのボディにマリン・ブルーのインテリアというカラーコンビネーションは、もちろん新車当時から受け継がれているもの。車両に付属されるサービスブックには、ポルシェ本社が販売代理店であることが記載されているが、イギリス人であるベルは当初、左ハンドル車の受け入れには難色を示したとも伝えられている。しかし最終的にこのモデルはイギリスへと持ち込まれ、1988年2月に「E709 LOW」というライセンス・プレートを得るに至ったのだ。
ベルはこの928 S4 クラブスポーツ プロトタイプを2005年まで保管し、その後イギリスのコレクターの手にわたった後、2016年にはベルギーで開催されたオークションで再び落札された。現在の走行距離は7万2812マイル(約11万6500km)。車体やエンジンなどとのマッチングナンバーは、もちろんポルシェによって確認済みだ。
25万~30万ユーロ(邦貨換算約4000万円~4800万円)というエスティメート(予想落札価格)が、RMサザビーズによって掲げられたオークションだったが、入札価格は意外に伸びず、結果的にそれは14万3750ユーロ(邦貨換算約2300万円)という数字に落ち着いた。ポルシェのマニアにとっても、評価の難しいモデルであったことは間違いないようだ。








































































