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フェラーリにもなかったフル4座のランボルギーニ「エスパーダ」がお買い得の約1100万円で落札! 予想よりも安かったのには理由がありました

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

やっぱり価格を決定するのはコンディション……?

ベルギー・ブリュッセル近郊のプライベートミュージアム、近現代のポルシェやクラシック・アストンマーティンなどのコレクションを有する「キュレーテッド・コレクション(The Curated Collection)」から、このほどRMサザビーズ「PARIS」オークションに出品されたランボルギーニ エスパーダは、このモデルとしては第2世代にあたる「セリアII(シリーズ2)」。

車両に添付されたヒストリーファイルに収められたドキュメントによると、1970年7月3日にイタリア・ロンバルディア州ミラノの正規代理店「ランボルカー(LamborCar)」社を介して、新車としてファーストオーナーに納車されたと記録されている。

カラースキームは「アルジェント・メタリッツァート(Argento metallizzato:シルバーメタリック)」のボディカラーに「ネロ(Nero:黒)」の本革レザーインテリアの組み合わせで仕立てられていたが、このコーディネートは現在まで受け継がれているようだ。

RMサザビーズ社の公式カタログによると、新車時代以降のヒストリーは記録されていないとのことながら、2012年にキュレーテッド・コレクションにくわえられたとの由。そののち数年間にわたり、ベルギーのさまざまなボディショップによって約5万ユーロ相当の化粧直し作業が行われた。このときの作業内容は、添付のヒストリーファイルに綴じられた請求書にて、すべて閲覧可能となっていた。

エスティメートを下回る結果に

このランボルギーニ エスパーダについて、RMサザビーズ欧州本社は「ランボルギーニの歴史の魅惑的な1ページを象徴するエスパーダは、1970年代のスーパーカーコレクションに相応しい、魅力的な選択肢」というPRフレーズとともに、出品者であるキュレーテッド・コレクションとの協議のうえ8万ユーロ~12万ユーロ(邦貨換算約1280万円〜1932万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定。

ところが2月5日に行われた競売では、キュレーテッド・コレクション側が望んでいたよりもビッド(入札)が伸びず、終わってみればエスティメート下限を大幅に割り込む6万9000ユーロ。現在のレートで日本円に換算すると、約1110万円で競売人のハンマーが鳴らされるに至ったのだ。

冒頭でも述べたとおり、同じパリで同時開催されていたボナムズの「LES GRANDES MARQUES DU MONDE À PARIS」に出品されたエスパーダ・シリーズIIIが13万8000ユーロを叩き出していたのに対し、こちらのシリーズIIはきっかり半額に相当する落札価格に終わってしまった理由は、それぞれの公式オークションカタログに載せられたオフィシャル写真を見れば一目瞭然。エクステリアはまだしも、黒革のインテリアやエンジンルームには、かなりの経年劣化が見受けられる。

やはり、目に映るコンディションの良し悪しは、市場での価格に直結する重要な要素となるということなのであろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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