自然吸気の3.8L水平対向6気筒を搭載
あくまでも公道用とはいえ、それはBPR GT3やGT4レースに参戦するために、3.8LのRSRをホモロゲーションすることを目的に製作されたモデルにほかならない。ちなみに全台数が1104台の911カレラRSのうち、クラブスポーツ仕様はわずかに227台。その生産は1994年から1996年という期間に限られている。
この特別なホモロゲーションスペシャルの心臓部にあたるのは、自然吸気の3.8L水平対向6気筒、M64/20型エンジンだ。最高出力は296ps、最大トルクは355Nmを発揮し、バリオカムと呼ばれる可変吸気システムと新設計の鍛造ピストンが与えられていた。さらに、デュアル・オイルクーラー、軽量化されたロッカーアームなどホモロゲーションモデルにふさわしい強化策が施されている。
組み合わせられる6速MTは、最高速よりも加速性能を重視したセッティング。さらにポルシェはリミテッドスリップデファレンシャルや993型ターボ譲りのアンチロックブレーキ、スピードラインによるマグネシウム製の18インチ径ホイールを特別に装着した。
希少性と履歴が評価された
このワンオフの911カレラRSクラブスポーツ仕様は、1995年6月27日にポルシェセンター デュッセルドルフに納車され、魅力的なオプションが装着された。そして2007年までデュッセルドルフの会社にそのまま登録されたのち、イギリス、オランダ、フランスの重要なコレクションを経てアメリカのオーナーに渡る。
911カレラRS、そのクラブスポーツ仕様は希少であるため、オークションシーンにもそれが出まわる機会は少ない。しかも今回のような素晴らしいコンディションと、履歴がはっきりしているモデルはさらに稀だ。それが高く評価されたのだろう。入札価格は予想落札価格に迫る83万ドル(邦貨換算約1億2370万円)に達した。ポルシェ伝統の911シリーズは、これからもその価値を高めていきそうだ。




















































































