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「東北660選手権」1クラスにあえてスズキHA36型「アルト」で参戦! 3台体制で挑むチーム36の目論見とは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • 2024年の最終戦で3位に入った村上。スズキ HA36型 アルトが1クラスで表彰台を獲得したのは初だ
  • スズキ HA36型 アルトの可能性を知らしめたチーム36。まだまだタイムアップする余地は残されている
  • エンジン本体はレギュレーションで何も手を加えられない。このあたりは他クラスと共通
  • ECUはパルスポーツのオリジナル。東北660・HA36カップで大勢のドライバーが愛用している
  • レースカーらしく排気量と同等かそれ以上の容量を持つオイルキャッチタンクを装着する
  • レギュレーションに合わせてロールケージを装着し、走行中は助手席まで取り外している
  • ECUは東北660・HA36カップで豊富な実績があるARYレーシングのオリジナルを選択
  • ロールケージなど室内の作りはほぼ共通。ボディが重いのはグレードによる違いだろうか
  • センターコンソールにAEMの空燃比計を装着。愛車のコンディション把握に余念がない
  • 2024年の特別戦には村上と管野の2名がエントリー。今年の身内バトルで勝つのは誰か
  • エアクリーナーなど細かいパーツこそ異なるが、パワー的にはチーム全員がほぼイコールに近い
  • 同じ最終戦では5位だった管野。3人のなかでもっとも車両が重いので、軽量化を検討中だ

東北660の主力に浮上! 注目のチーム36とは

軽自動車レースの世界において、現在主力マシンの一角を占めているのが、スズキHA36型「アルト」です。軽量なボディに加えてチューニングパーツも豊富で、燃費性能にも優れていることから、さまざまなカテゴリーで活躍しています。その波は、東北660選手権の最高峰である「1クラス」にも着実に押し寄せてきています。今回は、そんななかで注目を集める「チーム36」を紹介します。

HA36型アルトが前例のない改造車クラスへ挑戦

2023年まではダイハツ車によるワンメイク状態だった1クラスに、2024年は「チーム36」から3台のスズキHA36型「アルト」が参戦。改造車クラスへの挑戦は前例がなく試行錯誤を重ねながらの参戦となったが、エビスサーキット西コースで行われた最終戦において初の表彰台を獲得。その底知れぬポテンシャルの一端をライバルたちに知らしめた。

チーム36は、村上正夫・管野則喜・本田通幸の3名で構成され、福島県を拠点に活動している。ホームコースは県内のリンクサーキットであり、チーム結成のきっかけは、本田からの誘いであったという。一時は、毎週のようにリンクサーキットを走行していたとのことだ。

東北660シリーズを知る多くの人が疑問に思うのは、なぜHA36アルトワンメイクによるHA36カップではなく、あえて不利を承知で新規格NAの東北660選手権、しかも改造範囲の広い1クラスに参戦するのか、という点である。

チーム36の拠点であるリンクサーキットは、上りのヘアピンが続く峠道のようなレイアウトであり、LSD(リミテッド・スリップ・デフ)のないFF車にとっては非常に不利なコースとなっている。しかし、HA36カップや東北660選手権の2クラスおよび3クラスでは、チューニングコストを抑えるため、機械式LSDの使用が禁止されている。

現在のレギュレーションにおいて、村上たちのHA36型アルトが参加可能なのは、東北660選手権の1クラスと、東北660耐久レースの4クラスのみである。悩みに悩んだ末、彼らはホームコースでの実力向上を優先し、チーム全員で東北660選手権の1クラスに挑む決断を下したわけだ。

仲間との切磋琢磨がタイムを押し上げる

当初は熟成の極みに達したダイハツ勢にまったく歯が立たず、下位クラスの車両にすら抜かれるという屈辱を味わうことも少なくなかったという。しかし、手の内を知り尽くした仲間同士でのバトルは盛り上がりを見せ、飽くなき向上心に支えられながら、着実にタイムを向上させていった。

なお、改造範囲が広いといっても、エンジン内部の改造や極端な軽量化は認められていないため、車両スペックは必然的に似通ってくる。この点が、いい意味でライバル心を刺激し、腕を磨きたいという意欲につながっている。

彼らの成長ぶりは他のドライバーやプロショップからも注目されており、今後はHA36アルトで1クラスへの参戦を検討している⋯⋯という話も耳にする。チーム36がどこまでタイムを伸ばすか、そして身内バトルの結果にも注目したい。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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