頑なにオリジナルへの復帰にこだわったレストアを施す
ロッソ・ミウラ(ミウラ・レッド)のボディカラーにブラックレザーのインテリアで仕上げられた『3057』は、1967年7月にイタリアのディーラーへとデリバリーされた。そこでたまたまイタリアを旅行中だったアメリカ人カスタマー、ベン・ジョンソン氏の目に留まり、その後ロサンゼルス近郊の自宅へと輸出された。そして1978年にはジョンソン氏は『3057』を同じロサンゼルス在住のディーン・アーバイン氏へと売却する。
アーバイン氏はミウラ整備の専門家であるジェフ・ステファンにメンテナンスを委ね、その過程でV型12気筒エンジンの潤滑システムをドライサンプ化するなどの改良が施された。ボディカラーもこの時点でアランチャ・ミウラ(ミウラ・オレンジ)に変更されていた。
その『3057』をデリバリー時の姿にフルレストアしようと決断したのは、アーバイン氏から購入した今回のオークションの出品者であった。彼は究極的な時代考証の正確さを追求するため、重要な部品はすべてポロ・ストリコから調達した。エンジンは再びオリジナルのウエットサンプ式に戻されたほか、タイヤさえもミウラの生誕50周年を記念してピレリによって再生産された「チンチュラート」を装着するというストイックなまでのこだわりを見せている。
ベスト・オブ・ショーの栄誉を獲得するほどの最高品質
レストアが終了した『3057』は、2016年の「ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング」で初公開され、ベスト・オブ・ショーの栄誉を獲得した。さらに2023年には「コンコルソ・イタリアーノ」でベスト・ミウラとベスト・オブ・ショーの両タイトルを獲得する。それは現存するP400ミウラのなかでも、この『3057』が最高のクオリティを維持するモデルであることを的確に物語っていた。
RMサザビーズが今回のオークションで掲げたエスティメート(予想落札価格)は200万ドル〜250万ドル(邦貨換算約2億9436万円〜3億6795万円)であった。オークションへの注目度はもちろん高く、入札の行方を見守るゲストも、その落札価格が最終的にどれだけの数字を記録するのかに大きな期待を寄せていた。しかし残念ながら『3057』はモントレー・オークションでは最低落札価格に届く入札を得られなかった。はたしてランボルギーニ P400ミウラの価格はこれからどのように推移していくのだろうか。今後のオークションシーンを見守る必要がある。



















































































































