豪華な特注仕様「レッドバード」のディテール
スタンダードな仕様でも1200kgというウェイトを実現していたCTRだが、RUFはさらに過激なCTRを求めるカスタマーのため、そのライトウェイト仕様の製作も行っている。今回モントレー・オークションに姿を現したCTRは、6台が製作されたライトウェイト仕様の1台だ。だがそのディテールは他のモデルとは大きく異なっている。
1989年5月にドイツのカスタマーによってオーダーされたこのモデルには、特注のボルドーレッドのペイントを施され、インテリアはそれに巧みにマッチするブラックレザーの仕上げとなっている。ライトウェイト仕様でありながら、通称「レッドバード」は特異なほどに豪華な装備を誇っていた。
もちろんライトウェイト仕様を名乗るだけに、RUFの軽量化に対する取り組みは徹底している。軽量ドアパネル、6点式のサベルト製フルハーネスシートベルト、アルミニウム製のドアシル、マットブラック仕上げの5本スポーク・ライトウェイト・ホイールなどはその代表例である。ちなみにフロントに掲げられるボンネットバッジやクロームのトリムはこのレッドバード専用で、ダッシュボードにはイエローバードへのオマージュであるキルスイッチも装備されている。他のすべてのCTRに装備されているマター製のロールケージが未装着であることも、このレッドバードの特徴だが、オリジナルの取り付けプレートはそのまま残されており、将来ロールケージを装着したいと望むならば容易に可能である。
アロイス・ルーフの自家用だった1台
1989年9月8日に完成したレッドバードは、驚きだが2005年9月までRUFの社長であるアロイス・ルーフの自宅に保管され、定期的に彼によって使用されていた。
その後ドイツのケルンに在住するコレクターの手を経てオーストリアへと渡り、この時に改良型のトランスアクスルやブレーキブースターを装着し、ホイールもシルバーフェイスに再塗装された。そして2021年にはアメリカのカスタマーが入手した。レッドバードが現在までに走行した距離は1万8900kmである。
その落札価格はRMサザビーズが提示したエスティメート、450万ドル〜500万ドル(邦貨換算約6億6231万円〜7億3590万円)というレンジには届かなかったものの、429万5000ドル(邦貨換算約6億3214万円)にも達した。ちなみにこれは2025年のモントレー・オークションにおいては8位にランクされる高額落札となった。




































































































