ル・マンマシンを彷彿とさせる伝説の称号「LT(ロングテール)」
マクラーレンで特別な存在として知られる「LT(ロングテール)」の称号。その名を受け継ぐ「675LT」が、名門ボナムズのオークションに登場しました。1997年に登場した伝説的マシン「F1 GTR ロングテール」にルーツを持つこのモデルは、軽量化と空力性能を極限まで追求した限定500台のスーパーカーです。MSOによる特注カラーモデルは、今回どのような評価がされて落札されたのか……マクラーレンの“究極”が放つ価値を振り返ります。
ロングテールなどの空力性能向上でダウンフォースは650S比40%アップ
2025年8月にボナムズ社のクエイル・オークションにマクラーレンの「675LT」が出品された。LTとはロングテールを意味する。この名称はマクラーレンにとって特別な称号である。多くのファンが、このLTの文字から1995年のル・マン24時間レースを制した「F1 GTR」の最終進化型として1997年にデビューした「F1 GTR ロングテール」の姿を思い浮かべるだろう。
675LTは、2015年3月のジュネーブ・ショーでクーペが発表され、同年12月にはスパイダーが続いた。いずれも500台という限定生産台数である。当時スーパー・シリーズにラインナップされていた「650S」をベースに、究極的なドライビング・エクスペリエンスをカスタマーに提供するために開発されたモデルだ。
ボディデザインは、その名が物語るとおりリアフェンダーやリアデッキのスタイルが一新された。アクティブ・ロングテール・エアブレーキのサイズは650S比で50%拡大。レースカーにインスピレーションを得たフロントスプリッターの面積も80%拡大されている。
結果として、650Sでさえ世界最高水準にあったエアロダイナミクスはさらなる高みへと導かれた。最大ダウンフォース量は675LTで40%も向上したほか、冷却効率も大幅に改善された。
軽量化への取り組みもじつに積極的だ。ボディパネルの大部分にはカーボンファイバーが使用された。ガラスも厚さが1mmという薄型タイプを採用している。カーペットが廃止されたキャビンには、カーボンファイバー製のレーシング・シートを装備。675LTが実現したドライウエイトは1230kgだ。これは650Sよりも100kgも軽量という驚異的な数字である。




























































