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50代レーサーがひしめく東北660最高峰クラスに20代が参戦!資金面のハンデを乗り越える術とは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • スバル プレオ:919#ARY 藻's タカムクキッチン プレオ/茂木勇輝
  • スバル プレオ:エンジン本体はレギュレーションによりノーマル。エアクリーナーはエンジンルームの熱を吸わないよう純正を使い、さらに耐熱布も貼り付けるなど工夫している。パワーよりも耐久性を重視した
  • スバル プレオ:バッテリーはお約束の軽量タイプを使用。ただし車重を削れる部分はまだあると考えており、安全性に影響のない範囲で削ぎ落としていく
  • スバル プレオ:1クラスではエキマニの交換も認められている。高回転域を重視するなら4-1タイプ、下のトルクが欲しければ4-2-1タイプを選ぼう
  • スバル プレオ:インテリアはロールケージなど安全装備を含めほかのクラスと変わらない。人が乗らない後部の内装はすべて取り外して軽量化している
  • スバル プレオ:排気系のチューニングも1クラスは自由度が高い。ただし排ガスや音量は保安基準に適合する範囲内というレギュレーションがある
  • スバル プレオ:足まわりやタイヤ&ホイールは2クラスのときと同じ。ブレーキも1クラスだからといって特別なことは何もせず、パッド交換のみだ
  • ダイハツ ミラ:154#ARY MSR タカムクキッチン ミラ
  • ダイハツ ミラ:小松ミラのエンジンルーム。純正エアクリーナーを活かした遮熱は茂木とまったく同じだ
  • ダイハツ ミラ:エキマニも交換済み。ラジエータなどに熱の影響を与えないよう耐熱バンテージを巻く
  • ダイハツ ミラ:1クラスといえど排気量は660ccで、ハイカムなども認められていない。そのため、とくに太い径のマフラーを使っている車両は皆無だ
  • ダイハツ ミラ:1クラスで1シーズン経験を積み、満を持してフルコンを導入した小松。レブリミットの変更でクロスミッションがさらに活きるはずだ
  • ダイハツ ミラ:コクピットはいたってシンプルだ。ステアリングコラムの上にはデータロガーを装着する
  • ダイハツ ミラ:タイヤは1クラスと2クラスでワンメイク状態のポテンザRE-71RS。サイズは165/55-14
  • 雨のエビスサーキット西コースで行われた今シーズン最終戦。小松と茂木が2位の座を賭けてスタート直後からバトルを繰り広げた
  • ともに3クラスからスタートしてステップアップ。上のクラスほどドライバーのレベルも高く、クリーンで熱いバトルが楽しめると話す。マシンの製作はオートリサーチ米沢にて

マシンを進化させる楽しさを味わいながら東北660「1クラス」に参戦

改造範囲が広いためマシン製作資金がかかり、経験豊富なベテランが集う東北660選手権の最高峰、1クラスは、若者にとって簡単に踏み込める世界ではありません。しかし近年は、その1クラスに挑む20代ドライバーが少しずつ増えてきています。莫大な予算をかけず、工夫して戦うという選択肢もあるようです。どのようにマシンを仕上げ、1クラスでの戦いを楽しんでいるのか。若者の生の声をお届けします。

改造範囲が広くマシン製作資金や技術的ノウハウが必要となる

フルコンやクロスミッションなどへの変更が認められた、東北660選手権の最高峰に位置する1クラス。改造範囲を大幅に制限した2クラスや3クラスに対して、チューニングも走りも楽しみたい人を対象にしていることもあってプロショップのオーナーや公式レースの経験者が多い。車両の製作費がそれなりに必要なこともあり、年齢層は50代以上が大部分を占めている。

東北660のボリュームゾーンである20代の若者に比べ、資金や設備を含むノウハウでもアドバンテージを有しており、手が届かない世界と感じている人も少なくないだろう。しかしながら近年では数こそ多くないものの、1クラスに挑む若いドライバーが存在し始めた。今シーズンでいえば小松日高と茂木勇輝。両名とも山形県のARYレーシングに所属し、長年にわたって活躍するテクニシャンだ。立ちはだかるベテラン勢に挑む彼らの声を聞いてみたい。

コストと性能を両立させる「1.5クラス仕様」という選択肢

まずは2025年の第3戦から1クラスへステップアップした茂木。チューニングやセッティングはまだ試行錯誤中と話すが、最大のポイントはECUがノーマルのままであることだろう。厳密にいえばAT用で書き換えはしておらず、パワーはライバルたちより明らかに不利で、当然ながらレブリミットも変更していない。ギヤ比は、ベテラン勢がコースごとに特化させて走るサーキットに合わせて組み替えているのに対し、どこでも無難に走行できるオールマイティな仕様。理由は説明するまでもなくコストの問題だ。

フルコンとなればセッティング費用込みで軽く数十万円に達し、ミッションも走るサーキットごとに用意するとなれば、工賃やオイル代も含めるとかなりの金額になってしまう。とはいえ勝ち目が皆無というわけではない。SUGOほど長いストレートがないエビスサーキットでは、茂木と似た仕様で優勝した1クラスのドライバーがおり、同じ車両はSUGOでも表彰台の一角を勝ち取っている。

「全コース80点」のクルマ作りがシリーズを制す

一方の小松は2024年からステップアップした。当初は茂木と同じく駆動系のチューニングが中心だったが、2シーズン目となる2025年からLINKのECUを投入した。1クラスの完全体に近づいたことで、2025年は優勝こそないものの、全ラウンドで表彰台を逃さずシリーズランキング2位を獲得。複数のサーキットを転戦する東北660シリーズでは、あるコースだけに特化したクルマを作るよりも、すべてのコースで80点を取るクルマが有利、という事実を改めて証明したといっていい。

そして茂木と小松が口を揃えて説くのは、1クラスの楽しさだ。純正のギヤ比ではもたつく箇所もクロスミッションなら気持ちよく加速するし、機械式LSDならではの「アクセルを踏んで曲げていく」という走りも可能になる。

フルコンによる制御ももちろん重要だが、彼らの例からもわかるとおり必須ではない。ギヤとLSDを一緒に交換すれば工賃も節約できて、茂木によると想定の半額で済んだとのことだ。まずは2025年の茂木や昨年の小松と同じく、フルコンなしの「1.5クラス仕様」を作り、徐々にクルマを仕上げていくのもありだ。

1クラスは改造範囲が広いだけに製作コストが増すのは確かだが、このクラスでしか味わえない楽しさは確実にある。2クラスで好成績を残したドライバーや、長く参戦し続けて新たな刺激が欲しくなった人は、最高峰の1クラスへ「進級」してみてはどうだろうか。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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