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「39億円」の衝撃!世界がざわついたマクラーレン「F1」の高騰した落札額

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

約33億円の競売基準額は40億円近いハンマープライスを記録

ところで上記のカラーチェンジが施される以前から、このマクラーレンF1はドアシルにミハエル・シューマッハのサインが描き込まれていた。そのサインは1996年3月12日付のもので、当時すでに2度のF1ワールドチャンピオンを獲得していた彼が、フェラーリでの初レースとなったシーズン開幕戦オーストラリアGPをリタイアした2日後のことだった。

そして2007年の再塗装/レストア後には、のちに7度のワールドチャンピオンとなるもう一人の英雄によるサインが入れられる。左側のラゲッジコンパートメントには、当時F1ルーキーシーズンを終えたばかりの元マクラーレンドライバー、ルイス・ハミルトンのサインが今も残っているのだ。

こうして再生されたこのF1は、その後10年間にわたって、レストアの施工主である当時のオーナーによってアメリカ全土で愛された。走行距離が1万2000マイル(約1万9200km)に達するまでに、東海岸と西海岸の両方でその姿を見ることができた。

また使用頻度の増加に伴い、2018年にはエンジンを完全に分解する大規模な整備が施される。「マクラーレン・フィラデルフィア」が受託したこの大規模整備では、燃料セルが交換され、再び5万ドル以上がメンテナンスに費やされたとのことである。

そしてそののち、今回のオークション出品者でもあるデンマーク在住の現オーナーが購入したこのF1には、純正オリジナルの「FACOM」社製ツールチェストが付属。RMサザビーズの公式オークションカタログ作成時点で、走行距離は1万3711マイル(約2万1900km)と申告されていた。

今回の「Collectors’ Week Abu Dhabi」オークションにおけるこのマクラーレンF1は、昨今のRMサザビーズ社が超高額商品を対象として行う「Value in Excess」、通常のエスティメート(推定落札価格)を設定せず、オークションハウスが設定した数百万ドル規模の基準額からスタートする競売形式を特別に採用した。この場合のスタート額は2100万ドル(約32億7270万円)とした。

そして迎えた12月5日、同じゴードン・マーレー作品である「GMA T.50」のあとに最終ロットとして行われた競売では、2531万7500ドル。つまり、現在のレートで日本円に換算すれば約39億4650万円という、昨2025年におけるRMサザビーズ社でも屈指のハンマープライスで、無事落札に至ったのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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