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アメリカ版タモリ(!?)のTV司会者ジェイ レノの桁違いの自動車コレクション見聞録【クルマ昔噺】

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

  • ブガッティ タイプ57C:精巧に作られたクーペ アトランティークのリクリエーションモデル
  • 当時はLA近郊の秘密基地にあり、詳しい所在は明らかにできなかった
  • クライスラー 300:テレビタレントのジェイ レノ氏と、彼が所有する美しい愛車
  • ロールスロイス シルバーゴースト:27000ccの航空機用エンジンを搭載したバケモノだ
  • デューセンバーグ:コレクションには貴重なデューセンバーグが複数台並べられていた
  • メルセデス ベンツ ブルーワンダー:幻のトランポーターの精巧な復刻版も収まっている
  • ジャガー Eタイプ:一見ノーマルに見えるが、何らかの改造が加えられた謎のモデルだ
  • ジェイ レノ ガレージ:最近のコレクション。展示スペースも大きく拡大している

航空機用のV12エンジンを積んだ化け物も存在! 規格外すぎる世界的TV司会者のガレージ拝見

アメリカの人気テレビ番組で長年司会を務めたジェイ・レノ氏は、世界有数のカーコレクターとしても知られています。1998年、まだ彼がLA近郊の「秘密基地」に車両を隠し持っていた時代に、筆者はその驚愕のコレクションを取材する機会に恵まれました。排気量2万7000ccの航空機用エンジンを積んだロールスロイスなど、スケールが違いすぎる愛車たちの逸話を振り返ります。

「トゥナイト・ショー」司会者で稀代の車愛好家、ジェイ・レノが築いた「ビッグ・ドッグ・ガレージ」とマルチな功績

ジェイ・レノという名前の人物をご存じだろうか。正式な名前は「ジェームス・ダグラス・ミュア・レノ」というそうだが、誰もがジェイ・レノと親しみをこめて呼ぶ。

イタリア系のアメリカ人である。彼を有名にしたのは、「トゥナイトショー」というアメリカNBCの番組司会を22年も務めて、人気が沸騰したことによる。つまりテレビタレントなのだが、コメディアンとしても声優としても、さらには俳優としても活躍したいわゆるマルチタレントである。

そんな彼は、多くのアメリカン エンターテイナーがそうであるようにクルマ好きで、複数(自動車:180台 オートバイ:160台 諸説ある)のクルマを所有している。記憶では、彼のコレクションを訪れたのは1998年のこと。当時クライスラーが、試乗会の帰りか何かの機会に彼のコレクションに連れて行ってくれた。当時はクライスラーと繋がりがあったようで、彼自身もまた、古い「クライスラー 300」をコレクションしていた。

規格外の情熱で27000ccの戦闘機エンジンを積んだロールスなど、名車を自在に操るジェイ・レノのレストモッド

この当時はまさしく秘密基地の様相を呈した場所にクルマを保管していて、もちろん公開はしていなかった。最近はスペースも大きく拡大し、一般が入れるようになっているらしい。

筆者が見に行った当時のコレクションは、基本的にアメリカとイギリスのモデルが多く、とくにアメリカのコレクションは「デューセンバーグ」のコレクションが充実していた。ほかにはコブラなどもあったと記憶するが、あまり写真を撮っていないので、何のモデルだったかは覚えていない。

当時からすでにいわゆるレストモッドに手を染めていて、なかでも一番びっくりしたのが「ロールスロイス シルバーゴースト」だった。全体像を撮っていないけれど、そのエンジンはしっかりと写真に収めている。

彼の説明によれば、エンジンルームを開いて「これ、何のエンジンかわかるか?」と聞くので、単純にロールスロイス(現にそう書いてある)だと答えると、人差し指を左右に振りながら、次のように語った。

「これはな、ロールスロイスはロールスロイスでも、スピットファイアに搭載していたスーパーマーリンエンジンを搭載しているんだよ」

これにはビックリした。そのとき正確なことを聞かなかったけれど、このスーパーマーリンのエンジンはイギリスの戦闘機「スピットファイア」のみならず、アメリカの「P-51マスタング」にも搭載していたから、アメリカでも容易に手に入ったのかもしれない。排気量はじつに27000ccのV12だ。本来は航空機用として1000馬力以上の途方もない出力を絞り出すバケモノであり、これを乗用車のシャシーに押し込むという発想自体がまさに規格外である。

そして彼は、「ちょっとこっちに来いよ」と、クルマのリアに筆者を連れていき、排気管に腕を突っ込んで見せた。そのエキゾーストパイプの太さは、優に彼の腕を飲み込む太さだったから、おそらくは15cmぐらいの直径だったのではないかと思う。最後に「速いぜぇ」と一言、にやりと笑った。

伝説のリクリエーションや世界最速ベンツトラックが並ぶガレージの変遷と、秘密基地から進化した聖地への再訪

デューセンバーグは3台ほどあった。ただこちらもふらっと見ただけで、グレードなどについては不明である。少なくとも次から次へと彼の説明で見て回ったこともあって、写真が少ない。

「ブガッティ タイプ57C クーペ アトランティーク」は、デンマーク人のエリック・クークスが製作した13台のアトランティークのうちの1台で、ジェイ・レノはこのクルマを今も所有しているという。ただし、当時筆者が見たカラーリングからは変更されている。

このアトランティークは、その精巧さゆえに本物とほとんど区別がつかないそうで、製作にあたっては、現在ラルフ・ローレンが所有するシャシーナンバー「57591」を正確にコピーしたものだ。使われている部品もオリジナルのブガッティパーツ、もしくはそのコピー品が使われているので、単にレプリカと呼ばずにリクリエーションと呼んでいるところもある。この13台のうちの1台は、日本にも現存する。

これ以外にはなぜか、「ジャガー Eタイプ」の写真も撮っているのだが、このクルマも確か何らかの改造を加えたモデルだったと記憶する。

近年の写真を見て驚いたのは、メルセデス ベンツが1950年代のレーシングカーのトランスポーターとして製作した、通称「ブルーワンダー」が収まっていたことだ。このブルーワンダーは、スポーツカーである「300SL」と同じ直列6気筒エンジンを搭載し、レーシングカーを積載した状態で最高速度170km/hでアウトバーンを駆け抜けたという伝説を持つ世界最速のトラックである。メルセデス ベンツ ミュージアムにあるものも復刻版だから、おそらくこれも複数作られた1台と推測する。

冒頭に話したようにコレクションは大きく拡大し、見学もできそうだから、再び訪れてみたいものである。ちなみに当時はロサンゼルスの郊外にあって、場所は秘密だった。果たして今はどうなっているのであろうか。

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  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 幼いころからクルマに興味を持ち、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾る。 大学在学中からレースに携わり、ノバエンジニアリングの見習いメカニックとして働き、現在はレジェンドドライバーとなった桑島正美選手を担当。同時にスーパーカーブーム前夜の並行輸入業者でフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに触れる。新車のディーノ246GTやフェラーリ365GTC4、あるいはマセラティ・ギブリなどの試乗体験は大きな財産。その後渡独。ジャーナリスト活動はドイツ在留時代の1977年に、フランクフルトモーターショーの取材をしたのが始まり。1978年帰国。当初よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動し、すでに45年の活動歴を持つ。著書に三栄書房、カースタイリング編集室刊「世界の自動車博物館」シリーズがある。 現在AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)及び自動車技術会のメンバーとして、雑誌、ネットメディアなどで執筆する傍ら、東京モーターショーガイドツアーなどで、一般向けの講習活動に従事する。このほか、テレビ東京の番組「開運なんでも鑑定団」で自動車関連出品の鑑定士としても活躍中である。また、ジャーナリスト活動の経験を活かし、安全運転マナーの向上を促進するため、株式会社ショーファーデプトを設立。主として事業者や特にマナーを重視する運転者に対する講習も行っている。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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