若手育成とクルマ文化の未来を見据え「モータースポーツを軸としたファン作り」は「ピアノ発表会」のように!?
Q:新しい選手の参戦もありますね。たとえば今年も「スーパーGT」から井口卓人選手が参戦しますが。
「ウェルカムです。井口選手は予選も通りましたし、やっぱりプロのドライバーってスキルが高いから、みんなある程度は乗るじゃないですか。でもそういうトップリーグでやっている選手たちが、このドリフトをモータースポーツとして認めてくれたということの証明でもあると思うんですよね」
Q:逆にKANTA選手や箕輪大也選手のように、ほかのカテゴリーへ移ってしまう選手もいます。
「それはそれでいいと思います。結局僕らは何を求めているかといったら、未来を持った若い子たちが乗ってくれて、成長していくステップに考えてくれれば良いのです。そこから世界に羽ばたいたら一番いいじゃないですか。18歳以上の免許所持者じゃないといけないというのは時代錯誤ではないかと思っています。そんなことでは未来の自動車業界に何もなくなっちゃうという危機感を持ってやっています。たとえばピアノの発表会を見るとわかりますが、僕らは発表会の会場を作っているわけです。でもそこにはピアノの先生も習っている生徒もいる、ピアノを売っているところもあるし、ピアノの調律で食っている人もいるし、ピアノの用品を売っている人もいる。そういう用品などは、ピアノを弾く人がいなきゃ売れないわけじゃないですか。反対に発表会がなければ、すべてが厳しくなってしまうわけですよね。そういうことをもっと広い目で、自動車業界の人が何が大切でどこにお金をかけるかというのを見てもらいたい。自分たちの利益だけを考えてやっている興行なら別にどうなってもいいと思うんですよ。でも僕らはそうじゃない。うちは金儲けに走りたくないので、自動車業界、クルマを楽しんでくれる人をいっぱい作りたいんです。だからチケットもリーズナブルな設定にしていて、現場でこの空気に触れてもらいたいわけですよ。クルマ好きのファン作り活動みたいなものですよね」
ドリフトの地位向上とファン層拡大、次世代育成を掲げるFDJ岩田代表が描く「日本発祥文化」の未来像
「これを十数年続けているわけです。それはなぜかと言ったら、このドリフトというものが日本に生まれて、世界では競技になってモータースポーツに押し上げられているのに、危ないドリフト族的な低いレベルという状況だったものを、もう20年近くかけて啓蒙して、どんどんモータースポーツの位置づけまで押し上げるということを真剣にやってきているからです。ようやくその競技という認識にちょっと分かれようとしています。まだまだ痛みが伴うだろうなと思っていますが、これからもおごらず、コメツキバッタのように働いていきます」
岩田氏が語るように、日本で産声を上げたドリフト競技は現在、「FIA インターコンチネンタル ドリフティング カップ」として世界自動車連盟(FIA)に公認されるなど、グローバルで格式高いモータースポーツへと確かな成長を遂げている。今回のこの開幕戦では、前売りチケットが前年の1.7倍に達したという。また、全世界へ配信されるライブ放送も1回に100万人規模が視聴しているという。
「参戦したいという問い合わせも増えています。もういっぱいでお断りせざるを得ない状況です」
と語る岩田氏のうれしい悲鳴は、長年の地道なファン作りが実を結んだ証である。
ドリフトという日本発祥の文化を正当なモータースポーツへと昇華させ、次世代の才能を育む土壌として、今後のFDJのさらなる飛躍に期待せずにはいられない。





































