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最高速290km/h、富士1分53秒。L型を1万回転まで回す日産「フェアレディZ」の圧倒的な凄み

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TEXT: 村田純也(MURATA Junya)  PHOTO: 泉 晟太郎(IZUMI Jyotaro)

ツインカム24バルブのL型を1万回転まで回し、富士1分53秒を叩き出した最速のS30Z

NA(自然吸気)のL型エンジンで最高速290km/hを実現した1台がある。OS技研が現代に蘇らせたツインカム24バルブ「TC24-B1Z」を積む日産「S30型 フェアレディZ」だ。40年前に幻となった名機が、なぜ今また第一線の速さを手にしたのか。JCCA総合優勝とコースレコードで実力を証明したレーシングZの中身に迫る。

OS技研「TC24-B1Z」とは? L型を1万回転まで回す400psの名機

心臓部の主役は、OS技研が手がけるL型ベースのDOHC24バルブエンジン「TC24-B1Z」だ。ルーツは1980年に市販された幻のコンプリートエンジン「TC24-B1」までさかのぼる。40年前に市販化したL型6気筒用のオリジナルDOHCヘッドを、現代の技術で蘇らせたのがTC24-B1Zである。

このS30Zに積まれる個体は、L24ブロックをベースに排気量を3137ccまで拡大した仕様だ。最高出力は400psに達する。バルブ挟み角を狭く設計したツインカムヘッドは高回転を得意とし、許容回転数は1万回転におよぶ。ツインカムヘッド、カムギアトレイン、鍛造クランクシャフト、I断面コンロッド、鍛造ピストンなど、TC24専用パーツがふんだんに組み込まれている。潤滑はドライサンプ仕様とし、トラスト製とHPI製のオイルクーラーで過酷な連続高回転に備える。

創業者の岡崎氏が理想の燃焼を追い求めて生み出したこのエンジンは、当時、時代を先取りしすぎて幻の存在となった。その魂を現代によみがえらせ、速さで実証したのがこのレーシングZである。

TC24-B1Zの性能を最大限に引き出す駆動系と排気系のチューニング

400psを路面へ余さず伝えるため、駆動系にはOS技研の技術が惜しみなく投入されている。トランスミッションは最新設計の6速シーケンシャル「OS-FR6」だ。クラッチはOS技研製カーボンツインプレートの試作品を採用し、後輪の駆動力配分にはOS技研製スーパーロックLSDを組む。1万回転まで回るエンジンの過激な動きを受け止めるためのパッケージングである。

排気系も専用設計だ。ステンレス製50φの6-1等長エキゾーストマニホールドに、80φのオリジナルマフラーを組み合わせる。高回転域での抜けを最優先したセッティングと言える。点火にはMSD製システムを組み、OS技研製ディストリビュータや等長エキゾーストマニホールドといった周辺パーツも進化した設計となっている。ハンドリング操作の負担を軽くする電動パワーステアリングや安全タンクも備え、サーキットでの実戦を強く意識した構成だ。

足まわりと外装は17インチ化とFRP外装でサーキットに最適化

TC24-B1Zのポテンシャルに見合うタイヤ性能を与えるため、足下は17インチ化された。ホイールはレイズのボルクレーシングTE37V(17×8.5 インセット-16)を装着する。タイヤはヨコハマのアドバンA050で、フロント235/45、リア255/40という前後異サイズだ。ブレーキはエンドレスのトレースSPLチューンとし、フロントに6ポット、リアに4ポットのキャリパーを組む。

外装はFRP製パーツで固められている。フロントスポイラー、ボンネット、フロントフェンダー、前後オーバーフェンダー、ドア、テールゲートまでを軽量化した。ワイドなオーバーフェンダースタイルは、17インチの太いタイヤと相まって迫力ある佇まいを生む。内装にはブリッド製のバケットシートを採用し、軽量高剛性と優れたホールド性を両立させている。ナンバー7製カーボンステアリング、スタック製タコメーター、デフィ製の油温・油圧・水温計など、追加メーター類も高精度なものでそろえた。すべてはTC24-B1Zの性能を速さへ変えるための選択である。

最高速290km/h、富士1分53秒637という圧倒的な記録

このS30Zは実際のタイムで速さを証明している。記録した最高速は290km/h。富士スピードウェイでのラップタイムは1分53秒637を刻んだ。NAのL型エンジンとしては驚異的な数値と言える。S30の現役当時には実現不可能だった高性能を惜しみなく詰め込み、それをすべて速さに変えた1台だ。

JCCA総合優勝やコースレコード樹立という結果は、TC24-B1Zが単なる復刻の域を超えた実戦エンジンであることを物語る。40年前に理想を追って生まれた名機が、現代の設計技術と組み合わさることで、S30に新たな世界を切り開いた。オーナーやZファンにとって、このレーシングZの走りは永遠の憧れとして語り継がれていくだろう。

岡崎氏が半世紀以上前に抱いた燃焼への理論は、幻となった名機を経て、いま最新のシャシーとともにサーキットで結実している。時代を先取りしすぎたがゆえに埋もれかけた技術を、あきらめずに磨き続けた執念こそが、この1台の速さを支えている。OS技研とTC24-B1Zが刻む記録は、旧車チューニングの一つの到達点として、これからも多くのファンの記憶に残っていくにちがいない。

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