エンジン・ミッションレスを約5年がかりで甦らせた日産「フェアレディZ」
ドラッグマシン風に前下がりにセッティングされたフォルムが精悍な、1977年式の日産「フェアレディZ(S30型)」。年式を感じさせない美しさをキープしているが、それはオーナーであるMさんの努力とたっぷりの愛情によるものだ。エンジンもトランスミッションもない骨組みだけの状態から、約5年がかりで見事なレストア(老朽化したクルマを復元すること)と独自のカスタムを施し、現在の美しい姿まで甦らせたのである。
骨組みだけの状態からFRP製パーツを駆使してエクステリアを復元
1969年に誕生した初代フェアレディZ(S30型)は、ロングノーズ・ショートデッキの美しいスタイリングと優れた走行性能により、北米市場をはじめ世界的な大ヒットを記録した日本を代表するスポーツカーの金字塔である。今回紹介するのは、その後期にあたる1977年式だ。
「13年前にこのZを手に入れた時は、エンジンもトランスミッションもないドンガラ(骨組みだけの状態)でした」
当時を振り返りながら語るMさんの表情は、苦労を乗り越えた達成感に満ちていた。完全なプライベーターでありながら、そこから約5年がかりで現在の美しい状態まで甦らせたのだ。
フェアレディZのエクステリアは、ボンネット、ライトベゼル、カウルトップ、フェンダーのすべてをFRP製に交換している。ヘッドライトベゼルもFRP製で、ライト本体はマーシャル製にLEDバルブを装着した。テールランプやエンブレム、前後バンパーはリプロ品(復刻パーツ)を使用している。スピードフォルム製のフロントスポイラーと純正タイプのオーバーフェンダーも装着され、迫力のスタイルを構築している。

異径サイズのホイールで前下がりフォルムを作り出しエンジンルームを磨く
前下がりのフォルムを作り出すため、ホイールはSSRのフォーミュラメッシュを選択した。フロントは15×8.5(インセット-14)、リアは16×9.5(インセット-19)という異径サイズをマッチングさせている。
心臓部には、日産「セドリック」用のL型2.8リッターをベースにした「L28改3リッター」エンジンを搭載している。L28クランク、L14コンロッド、KA24ピストンに、OER製の50Φ(直径50mm)キャブレター、ファクターのタコ足(エキゾーストマニホールド)、KAMEARI+RRCマフラーという構成だ。
日産L型エンジンのボアアップによる3リッター化(通称:L3.0仕様)。S30Zにおける王道かつ至高のチューニングとして古くから愛されており、現代においてもその強烈なトルクとレスポンスは色褪せることがない。マフラーからは刺激的なサウンドが響いている。

エンジンルームの美しさもMさんのこだわりで、ヘッドカバーの刻印を「L30」に作り替えたり、ハーネス(配線)類をすべてフェンダー内に隠すなどの工夫が施されている。取材時は湿度が高かったため、現場でプラグ交換をして走りに備えるなど、キャブ車ならではの手間も楽しんでいる様子だ。降水確率が10%以上になったらクルマは出さないという徹底ぶりである。
経年劣化が進行したダッシュボードを作り替え内装を徹底的に刷新
ボディと同様に内装も経年劣化がひどく、ボロボロだったダッシュボードはFRPでパネルを貼り付けて作り替えている。センターの3連メーターはデフィ製に変更し、ステアリングはMOMOのベローチェ、シートはレカロに交換してスポーティに仕上げた。
また、ドアヒンジやフューエルリッド(給油口)のキャップなども純正の劣化がひどかったため、亜鉛メッキタイプに交換するなど、手が入っていないところはない状態だ。Mさんはこの1977年式フェアレディZ以外に1978年式も所有しており、そちらも現在レストア中だという。手は掛かるものの、自らの手で名車を後世へと残していく充実したカーライフを満喫している。





































