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クルマの「カタログ燃費」は本当か? 実燃費と差が生じる理由は「計り方とアクセル操作」

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TEXT: 工藤貴宏  PHOTO: Auto Messe web編集部

クルマの燃費を知る目安として有効

 自動車のスペックのひとつ、カタログなどに記載されている「燃費」は、渋滞路などはもちろん、比較的燃費がよくなる長距離走行でも、実際に走るとスペックどおりには出ないもの。なぜだろうか。少し紐解いてみよう。 クルマのカタログには例外なく燃費値が記載されている。かつては「10モード」や「60km/h定地走行」、1991年からは「10・15モード」、2011年からは「JC08モード」、そして2018年秋からは「WLTP」と測定基準は時代により異なるが、日本の場合はすべて”km/L”と表記され、1リッターのガソリンで走れる距離を表記している。たとえば20km/Lと記載されていたら、1リッターのガソリンで20km走れることを意味する。

 しかし、実際にはカタログに記載された通りの燃費を実現するのは難しい。それは多くのドライバーが実感しているだろう。

 

「神の足」が計測を行なう?

 カタログ値と実燃費に乖離(かいり)がおこる理由はなぜか? 最大の理由は、カタログに記載する燃費を計測する条件が、実走行とはかけ離れているからである。

 カタログに記載される燃費の計測は「シャシーダイナモメーター」と呼ばれる、ハムスターがまわすような車輪を大きくしたようなものを回して行なう。あらかじめテストコートで計測した走行抵抗(タイヤの転がり抵抗や空気抵抗)を負荷としてかけ、実際にクルマを走らせることなくシャシーダイナモメーターを回して走行状態を再現して測るという仕組みだ。

 さらに、計測時に運転を担当するスタッフは「神の足を持つ」とも呼ばれる、燃費計測スペシャリストが担当。素人には真似のできない、絶妙な”足技”で低燃費を叩き出す。
 計測方法もドライバーも実際の走行状態と異なるのだから、カタログ記載値と実燃費の乖離があるのは当然の結果。カタログ上の燃費はいわば「定められた状況で最良の、実走行とは異なる燃費」なのだ。

 対して実走行での燃費は、環境が異なるだけでなく、ドライバーのスキルによるばらつきも大きい。平たく言うと、急の付く運転(急加速/急ブレーキ)など、操作が荒いドライバーはアクセルワークにムラが多く、燃費は悪くなりがちになるのも事実である。

 

カタログの燃費は無意味ではない

 では、カタログに記載された燃費に意味はないのだろうか。決してそんなことはない。実燃費との乖離はあるにせよ、どのクルマも同じ条件で計測された数値を比較することで、燃費の良し悪しを判断する目安とすることが可能となる。そこに大きな意味があるのだ。

 一方、近年はカタログ値と実燃費の差は少なくなりつつある。ひとつの理由は、燃費計測モードが「WLTP」となり実際の走行状態に近づいたこと。もうひとつは、数年前に社会問題となった燃費偽装事件の影響だ。この燃費偽装事件をきっかけに、自動車メーカー内でも「カタログ燃費にこだわるよりも実燃費をよくしたほうがユーザー想い」という風潮が高まってきた。
 じつはエンジンやトランスミッション(AT/CVT)の制御には、カタログ燃費を高めるのと実燃費を高めるので相反する要素もあり、その判断において、かつてはカタログ燃費を取りがちだった。

 そのためカタログ燃費が良くなるものの、実燃費は悪くなるというユーザーにやさしくない状態が一部の車種で起きていたのである。しかし燃費偽装事件以降は、多くの車種において「カタログ燃費よりも実燃費をよくする制御」へと考えを改めているのが最近の傾向といえるだろう。

 

“高速道路をゆっくり”が最も燃費がいい

 ちなみに、燃費がいいのは高速道路を70〜90km/h(トランスミッションのギヤ比などにより異なる)で走る状況。高速道路をゆっくり走る(大型トラックの流れに合わせた速度)と、カタログ燃費を超える燃費を実現するのも難しくない。
 また、どうしても実燃費を上げたければ、タイヤの空気圧を高めに調整したり(グリップや乗り心地の悪化となるデメリットがあるので、やりすぎは禁物)、減速時は早めにアクセルオフするような運転テクニックを磨くのも効果的だろう。

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