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プロトタイプは「ガルウイング」だった! 「エスパーダ」という異端ランボルギーニ

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了、ランボルギーニ

プロトタイプはガルウイングドアを採用していた

 市販モデルの紹介はこのくらいにして、プロトタイプについて話を進めていきましょう。エスパーダは1967年のジュネーブショーにおいて、ランボルギーニのブースにコンセプトカーとして参考出品されていたマルツァルがベースとされています。1967年のジュネーブショー参考出品されていた「マルツァル」

 当時フェルッチオは「(マルツァルは)全くのコンセプトモデル」としていましたが、六角形をモチーフとしたガラス張りのガルウィングドアこそコンサバなフロントヒンジの2ドアに置き換えられていたものの、4人の大人がゆったりと座れるフル4座のキャビンと、それを包み込むボディのシルエットは、見事なまでに市販モデルへと踏襲されています。ちなみにマルツァルはジュネーブショーで初披露されたのち、ベルトーネの博物館に収められ、何度か一般に公開されています。

 このマルツァル自体に出会うことはなかったのですが、数年前にイタリアに赴き、フェルッチオ・ランボルギーニ博物館(Ferruccio Lamborghini Museum)を取材した際にエスパーダ・プロトタイプと展示パネルに示されたオレンジの1台に出会ったのです。ランボルギーニ・エスパーダのプロトタイプ(フロントビュー) 詳細についての説明文が表記されていなかったため、このプロトタイプとマルツァルの時系列から見た相関関係など、正確なところは不明ですが、このシルエットと六角形をモチーフとしたガラス張りのガルウィングドアと、それを開けて入り込むフル4座のキャビンスペースなど、両者(車)に関連性のあることは明確です。ランボルギーニ・エスパーダのプロトタイプ(内観)

 また、展示フロアの別の一角にはローリングシャシー(モノコックフレームなので、こう表現するのが正しいかは自信がないのですが…)が展示されていました。フロントミッドシップと呼んでいいところまで後退させてマウントした全長の長い60度V12ツインカム・エンジンや、コイル/スプリング・ユニットをアウトボードにマウントしたコンサバティブなダブルウィッシュボーン式前後サスペンション、ガーリング製の4輪ベンチレーテッド・ディスクブレーキなど、クルマ好き、とりわけメカニズムに興味のあるムキにとっては興味深いものがあります。ランボルギーニのローリングシャシー

 ところで、掲載した写真はサンターガタにある本社に併設されたランボルギーニ博物館(The Lamborghini Museum)と、そこから20km程離れたフェルッチオ・ランボルギーニ博物館(Ferruccio Lamborghini Museum)、2つのランボルギーニ博物館で撮影したものです。企業博物館と創業者の個人博物館という訳ですが、創設から早い時期のプロトタイプの多くが創業者の個人博物館にあり、企業博物館には市販モデルを中心に収蔵展示されている、と好対照を見せていたことがとても印象に残っています。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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